ロヒンギャの食文化とは?
「これはロヒンギャが大好きなサカナ。カレーにして食べることが多いかな」
ひと抱えもある「リタ」という冷凍の魚を手に話すのは、この食材店「ALHミニマート」のオーナーにして、在日ビルマロヒンギャ協会の副会長アウンティンさん(54)。
「ロヒンギャ料理は、レモンやタマリンドで味つけした酸味のあるものが多いですね。辛いものもたくさんあります。肉はマトンや牛、それにヤギもよく食べます」
ロヒンギャはイスラム教徒なので豚肉は食べず、扱う食材はすべてハラル(イスラムの教えで許されている食べもの)だ。店の中には肉や魚、それに主食の米や豆、調味料にスパイス、お菓子や紅茶やジュースやインスタント麺など、多彩な商品が並びエスニックなスーパーマーケットという感じだが、実のところ「ロヒンギャ産」はない。
彼らは自らの国を持てないまま、ミャンマーとバングラデシュの狭間で暮らしているエスニックグループだからだ。食材は、ミャンマー産やバングラデシュ産を中心に、インドネシア、トルコ、スリランカなどからの輸入で賄う。レシピだけはロヒンギャ流にアレンジするというわけだ。