「早期解散の可能性が低いとみられているが…」

実際、国民民主の玉木雄一郞代表も高市総裁の誕生について、「政策協議の要請があれば、しっかり向き合いたい」とコメントをしている。前出の国民民主の中堅議員は玉木氏の“本音”について、こう解説する。

「玉木さんとしては、自民党と一定の距離をとりながら付き合った上で、次の総選挙では野党のまま戦って、さらに党勢を拡大したいという戦略がある」

次期衆院選で党勢を拡大した上で、連立入りしたいというのが本音だとすれば、衆院解散総選挙の時期がどうなるかもポイントになるかもしれない。

高市氏は総裁選告示日に「(早期解散は)考えられないこと」と発言し、永田町でも早期解散は可能性が低いとみられている。

玉木雄一郎代表(玉木氏SNSより)
玉木雄一郎代表(玉木氏SNSより)

ただ、国民民主党の玉木氏は連立入りへの意欲を漂わせる一方で、5日に仙台市内で行われた街頭活動で、「高市氏が首相になって衆院解散する可能性がある」と述べ、総選挙への「準備を加速したい」と警戒感を解いていない。

「支持率がガーンと上がれば、来年1月の通常国会の召集前という選択肢が出てくる可能性がある。それで、もしも衆院で与党過半数を取り戻すことができれば、そもそも連立の拡大も必要なくなるが・・・・・・」(前出・自民党閣僚経験者)

流動的な政局が続きそうだが、国民民主などとの政策協議を基本としつつ、衆参で与党過半数割れのまま“ハングパーラメント(どの政党も過半数を達成していない状態)”の国会運営が当面は強いられそうだ。

高市氏は「人付き合いが得意なタイプではない」(高市氏周辺)とされ、野党人脈も乏しいとされる。野党にパイプを持つ党内人材をうまく活用し、信頼関係をしっかりと構築できるかどうかが、連立の拡大を実現し、長期政権を目指す上での試金石になりそうだ。

取材・文/河野嘉誠 集英社オンライン編集部ニュース班