「裏金とプレゼントは韓総裁の指示によるものだった」とすでに公判で証言 

特検の調べでは尹英鎬氏は22年4月から2回にわたり、英国ジュエリーブランド「GRAFF」の600万円相当のダイヤモンドネックレスとシャネルのバッグを金建希氏に贈るよう全ソンベ氏に託している。

このプレゼントと権議員への裏金の支出の指示は韓総裁が尹英鎬氏に行なったと狙いをつけた特検が逮捕状請求に踏み切った形だ。

「全ソンベ、尹英鎬、権性東という他の登場人物はすでに逮捕されており、特検は立件に対して自信を深めています。9月に入り、逮捕前の最後の手順として必要な本人の事情聴取を韓鶴子総裁に要求しました。しかし、韓総裁は健康状態などを理由に3回にわたってこれを拒否しました。

それならばと特検が聴取なしでの逮捕をちらつかせると、韓総裁は17日にようやく聴取に応じました。これを終えたので粛々と逮捕状請求に入った形です」(韓国紙記者)

当時教団ナンバー2だった尹英鎬氏/韓国JTBCテレビのYouTubeより
当時教団ナンバー2だった尹英鎬氏/韓国JTBCテレビのYouTubeより

9時間超続いた事情聴取に対し、韓総裁は容疑を否認しながら「“真のお母さま”である自分の教えを受けた候補が大統領にならなければならない」などと『教団の教え』を主張したと伝えられている。

だが、かつての最側近だった尹英鎬氏は、権議員への裏金提供と全ソンベ氏に金建希氏へのプレゼントを託したことを認めた上で、これらは韓総裁の指示によるものだったと、すでに始まった公判で証言しており、特検には有利な状況だ。

「教団側は尹英鎬氏とその妻の元財政局長が勝手にやったことだと主張しています。しかし昨年12月、元財政局長が韓総裁の秘書室長に『(金建希氏に)贈り物をするのがいいという韓総裁の意見があった』とするメッセージを送り、こうした物証を特検が入手していると韓国テレビ局JTBCが17日夜に報じており、証拠を固めていることがうかがえます」(在京テレビ局国際部記者)

17日、ソウルの特別検察官事務所が入るビルに到着した旧統一教会の韓鶴子総裁(共同通信社)
17日、ソウルの特別検察官事務所が入るビルに到着した旧統一教会の韓鶴子総裁(共同通信社)