旧統一教会側が違法な金品の提供を僧侶・全氏に託していた疑惑
尹錫悦大統領が“自滅”するきっかけとなった昨年12月3日の内乱未遂事件の前から、妻の金建希氏には外車販売会社の株価操作など少なくとも7つの疑惑が持ち上がっており、それが今回の伏線となった。韓国紙記者が解説する。
「尹政権の崩壊前、国会で金建希氏の疑惑を捜査する特別検察官(特検)を置く法案が成立しても尹大統領が拒否権を行使して捜査させないということが繰り返されてきました。
金建希氏は『山で17年間修行し、幽体離脱ができるようになった』と主張する“天空(チョンゴン)”と名乗るシャーマンに帰依しており、この天空が尹大統領の政策判断にまで影響を及ぼしている疑惑もありました。
尹政権が崩壊し今の李在明(イ・ジェミョン)大統領の政権でようやく特検が任命され捜査が始まりました。天空に絡む疑惑の解明が進むことも期待されたのですが、その前に金建希氏のそばにいた別の宗教家の不審な動きがクローズアップされたのです」
それが“乾真(コンジン)法師”と呼ばれる全(チョン)ソンベ氏だ。僧侶を名乗る全氏は尹政権の与党だった「国民の力」に顔が利き、同党の国会議員候補者選定に介入しカネを受け取ったという政治資金法違反事件で起訴されている人物だ。
そして、旧統一教会がその影響力を買い、尹政権に食い込むための違法な金品の提供を全氏に託していた、という事件が浮上したのである。
「尹錫悦氏が大統領に当選した直後の2022年3月、当時(統一教会の)教団ナンバー2だった尹英鎬(ユン・ヨンホ)元世界本部長が尹錫悦氏と面談をしています。この時尹英鎬氏は大統領に対して、カンボジアで教団が進める開発事業へのODA(政府開発援助)による事実上の支援や、24時間放送局YTNの教団による買収への政府支援などを求めました。要求の一部は実際に尹政権の『国政課題』に選定されています。
この面談の席は(全ソンベ氏ではなく)旧統一教会が別ルートで手をまわした重鎮国会議員・権性東(クォン・ソンドン)氏が口利きをして実現しました。その際にも日本円で約1000万円の裏金が権議員に渡ったと特検は見ています。
そして面談後の“お礼”の段階で動いたのが全ソンベ氏です。ミッションは金建希夫人へプレゼントを渡すことでした」(韓国紙記者)