警護してもらえないとわかった途端、動画を公開
1月15日未明。ソウル中心に位置する漢南洞(ハンナムドン)の大統領官邸周辺には首都圏周辺から集められた3200人超の機動隊員が“大統領確保作戦”に投入された。
「捜査に当たるのは高官不正摘発の専門組織である、高位公職者犯罪捜査処(高捜処)と警察などの合同捜査本部です。
捜査本部は1月3日も約100人態勢で尹氏を拘束するため官邸に入りましたが、大統領警護処の職員が約200人態勢で“人の壁”をつくって尹氏の住居への接近を許さず失敗しました。2回目の拘束作戦は絶対に失敗ができなかった。
それでまず、数で圧倒しようと機動隊員がかき集められました」(韓国紙記者)
最初の失敗の後、捜査本部は警護処トップを公務執行妨害で逮捕すると圧力をかけ、トップはこれに抗えず1月10日に辞任。警護処の指揮はナンバー2のキム・ソンフン次長が執っていた。このキム次長が尹氏への忠誠心が高く、徹底抗戦の構えを見せていた。
「しかし、11日に尹氏が警護処幹部らに『2回目の令状執行が行なわれたら武器の使用を検討しろ』と指示し、これが隊員らの反発を招きました。これを機に官邸内部の動向がメディアや国会議員に次々とリークされ、警護処のモチベーションは崩壊しました。
尹氏は12日にも『銃は無理でもナイフでも持って、何が何でも(拘束を)阻止しろ』と部下らに命じましたが、これもすぐ筒抜けになるありさまでした。
結局、15日早朝からの2回目の拘束作戦に警護処の職員は目立った抵抗もせず、憂慮された衝突は起きませんでした」(韓国紙記者)
警護処が自分を守ってくれないと悟った尹氏は、国民向けの動画を大急ぎで撮って公開。
「私は出頭(要求)に応じます。しかし捜査を認めるわけではありません。不法、無効な手続きに応じるのは流血沙汰を防ぐための思いであるというだけです」などと主張。
威厳を保つため自ら出頭すると言ってみたが、実際には官邸で令状を執行され連行された。
「容疑者となった尹氏は供述を拒否しますが、捜査本部は18日にも拘束令状よりも一段重い逮捕令状を請求する予定です」(全国紙国際部デスク)