留置場メシは3食で1300〜1400円

法治国家である先進国の多くは、逮捕後、拘置所に送られるが、日本では「留置場」に入れられ、刑事事件の被疑者・留置人はそこで警察や検察の取り調べを受けることになる。

有罪判決が確定していない未決拘禁者を収容する「拘置所」や刑罰が確定した受刑者を収容する「刑務所」は法務省の管理施設だが、逃走や証拠隠滅を防ぐことを目的とする留置場は警察署内にある警察の管理施設だ。

「警察署内に食堂などの調理施設がある場合は、フードサービスや給食サービスを展開する事業者が入っているので、そうした委託業者が留置場の食事も提供しています。ただ、そうした施設のある警察署は少なく、多くの警察署では出入りする仕出し弁当屋などから調達しています」

そう語るのは元神奈川県警・刑事で、現在は犯罪ジャーナリストとしてメディアでの事件解説などで活躍する小川泰平氏。最大約60名(当時)が収容できる警察署内の留置係員としても働いていた過去を持つ。

留置人の世話をする留置係員は「担当さん」と呼ばれ、現在は捜査関係部署と留置管理係とは同じ警察でも組織上は分離されている。

「時間に合わせて用意されている一般的な仕出し弁当なので温かい状態で提供されます。留置人に提供する際は容器などの容れ物やメニューは少し違いましたが、看守を担当する警察官も同じ弁当屋の弁当を食べていました」

予算は警察署によっても多少の違いはあるそうだが1日3食で1300〜1400円ほど。最新のカレーライス物価指数 (※)は377円なので、一般国民の食事と比べて見劣りするものではない。(※野菜、肉、米を使った日本人の食生活の代表とも言えるカレーライスは、物価のいい目安になり、カレーライス1食分に必要な食材と水道光熱費から算出したもの。帝国データバンクが公表している)

基本的人権の考えから摂取カロリーはもちろん、栄養バランスもある程度は勘案されているようだ。

「いわゆる“豚箱メシ”的なイメージから連想される粗末な食事ではないです。1日2300カロリーとカロリー計算もされており、健康的な食事とも言えるでしょう」