「8、9月は俺の時代」
そんな苦行のような日々を送る岩田氏だが、今後の展開に自信をのぞかせる。
「開幕前から8、9月は俺の時代だと思ってました。だって、距離がどんどんエグイことになるので、その分、注目も集まるだろうと。
狙い通り、42号のときは毎回やってるTikTok LIVEで約900人の視聴者が僕のマラソンを見に来てくれました。YouTubeのライブ配信ではスパチャ(投げ銭)で4万円もらえたこともあります。
マラソンコースは家の近所のジョギングコースをぐるぐる回ってるんですが、土地勘のある地元の人やライブ配信から場所を特定した人など、応援に来てくれることも増えてきてるんです」
だが今後は、複数ホームランが出れば100キロ近い距離になる。昨年9月19日の1日3ホームラン(49~51号)のような状況ともなれば、破滅は必至だ。
「体がどこまでもつんやって話ではありますけど、もちろんやりますよ。途中リタイアした場合は次回に持ち越すんで、今後、一日中走ってる日が出てくるかもしれないですね。
ただ、救急車で運ばれるようなことがあったら元も子もありません。迷惑にならない範囲で無理せずやっていきます」
大谷の活躍に乗じた企画だけに誹謗中傷が届くこともあるが「全然気にならないです。大谷が打つほうがよっぽど辛い」とどこ吹く風。「自分で言うのもなんですが、僕めっちゃ根性あると思います」と自負する彼を応援してくれる人は少しずつ増え続けている。
ドジャースがポストシーズンに進出した場合、新たなルールを追加して企画を続行するという岩田氏は建前とは言え、一応はアンチ大谷。ホームランを量産する大谷選手に言いたいことは?
「とりあえず故障離脱はしないでほしい。ここまできたらお互いケガなくシーズンを走り抜きましょう。
あとひとつ、打つならせめて1試合おきでお願いします。連日打たれると疲れがとれないからめっちゃキツイんです。4日連続ホームラン打たれたときは疲労が抜けなくてウーバーのバイトが1週間できませんでした。ほんとお願いします!」
このコメントが届いたわけではないだろうが、今月19日から始まった、チーム防御率5.99と投壊状態のロッキーズとの4連戦で、大谷のホームランは44号の1本にとどまった。
今後、大谷がホームランを打つたびに読者の頭の中に岩田氏の存在がチラつくようになれば、それはある意味、彼の勝ちなのかもしれない。
取材・文/武松佑季