唯一の希望“小泉効果”もイマイチ…
そして、石破政権の唯一の頼みの綱になっている“小泉効果”も先行きは不透明だ。都議選期間中には、小泉氏の声が吹き込まれた電話で支持を呼びかける「オートコール」が都内で流されたが、効果は限定的だったといわれている。
6月23日の農水省の発表によると、備蓄米の放出により、スーパーのコメ価格は3ヶ月ぶりに3000円台までに下落するなど一定の成果は出しているが、中長期的なコメ価格をどうしていくかといった出口戦略は見えていない。
「小泉氏は発信力とスピード感に定評がある半面、どこでボロが出るかわからない怖さもあります。『(コンバインなど農機の)レンタルやリースが当たり前の世の中にしていく』など、独自の農業改革案を提唱したりもしているが、農業関係者からすぐさま『田植えの時期が集中しており、リース事業に向いてない』といったツッコミが出ました」(自民党関係者)
こうしたなか、石破総理は6月23日の記者会見で、参院選の目標について「非改選と合わせて過半数(125議席)をちょうだいできるよう全力を尽くす」と語った。
現在、自公両党は参院で141議席。このうち今回の参院選で改選は66議席で、非改選は75議席だ。50議席を確保できれば、過半数は維持できる計算になる。現状から16議席を減らしても目標達成となる“低すぎるハードル”なのだが、都議選の結果を受け、その達成すらも危うい雰囲気が漂ってきた。
自民党の閣僚経験者も「都議選と参院選は必ず連動する。このままいけば惨敗だろう」と危機感を強める。
さらに、自民党の岸田文雄前総理(67)は6月25日の講演で「(参院選で)与党過半数割れになるとますます物事が決められない政治になる。政権交代も起こり得る」と語った。そのうえで、野党との連携や連立の枠組み拡大の必要性にも言及したという。
石破政権の勢いが衰えをみせるなか、参院選後を見越した自民党の “多数派工作”も本格化していきそうだ。
取材・文/河野嘉誠 集英社オンライン編集部ニュース班