セックスレス15年

夫から見切りを付けられた恵理子は、子育てにのめり込むようになる。当然、夫は悠馬が医師になる以外の選択肢を許さず、幼い頃から英才教育を施していた。英語は0歳から始め、スイミングや乗馬も習うようになった。連日、スケジュールはいっぱいで、恵理子は母親というより、まるでスケジュールを管理する芸能人のマネージャーのようだった。

小学校では6年間、悠馬の成績はオール5だった。中学校に入ると、試験期間は夜遅くまで起きていることも多く、恵理子は悠馬にマッサージをしたり、夜食の準備をしたり、悠馬が眠りにつくまで起きていなければならなかった。

恵理子は悠馬が思春期を迎えるにあたって、医学部に合格するまでは、女子との付き合いは禁止だと言い聞かせてきた。悠馬は、大学に入るまでずっと恵理子と一緒に風呂に入っていた。

私は思わず、身体の接触以上のことはないのかと尋ねると、恵理子は顔を赤らめてうつむいた。

「ずっとしてるんです。ちょうどあの子が、声変わりしたくらいから……」

悠馬が中学3年生の頃、悠馬の部屋を掃除していた恵理子は、いわゆる「エロ本」を見つけてしまった。そこには、女性が電車で痴漢をされている写真や、女性が複数の男性を相手に性行為をしている写真が載っており、恵理子はショックを受けた。

「こんな女性を馬鹿にしたような雑誌が出回っているんだと思うとゾッとしました」さらに、どこで手に入れたのか問い詰めると、悠馬は本屋で万引きしたと告白した。

「うちの息子が万引きなんて……。世界が終わるかと思いました……」

翌日、恵理子は悠馬を連れて書店に向かうと、本の代金と10万円を支払い、店主に土下座をして謝罪をした。

「雑誌に載っていたような、性犯罪まがいの行為を覚えたら、将来大変なことになります。だから私が教育しなくちゃいけないと思ったんです」

「ずっとしてるんです。ちょうどあの子が、声変わりしたくらいから……」14歳から息子と性行為をし続けた母の告白…息子の彼女に藁人形を送りつけて_2

悠馬は頻繁に、母親に性行為を求めるようになった。それは密かに、15年ほどセックスレスだった恵理子の欲求を満たすものでもあった。

悠馬は無事に、念願叶って第1志望の大学の医学部に合格した。恵理子は嬉しかった反面、上京する悠馬と離れて暮らすことが不安で仕方なかった。恵理子はいっそのこと、一緒に上京したいと申し出たが、夫にも悠馬にも反対された。

恵理子は、毎朝、目覚まし時計代わりに悠馬に電話し、3日おきに手作り料理を宅配便で送り、毎週週末は悠馬の自宅に泊まり込みで押し掛けていた。学生生活は忙しく、悠馬は母親が料理や掃除をしてくれることを喜んでいた。週末はセックスをしており、悠馬に恋人を作る様子はなかったという。

これだけ密着していても、恵理子にとって悠馬との別居生活は寂しくて仕方がなかった。一時期、恵理子は韓流スターにハマり、韓国まで追っかけに行くようになった。韓流スターを追いかけている時だけが、恵理子が子離れできる時間だった。