「日本の物件を舞台に中国人が中国人をだます犯罪パターンも生まれている」 

日本の不動産市場で中国人の存在感が高まっているのも、外国人の不動産売買が自由にできることに加え、この滞在資格のハードルの低さが絡みあっているという指摘もある。

「中国内にいながら日本でマンションなどの不動産を買って、そこを事業所に登録して経営・管理ビザをとるケースも目立ちますし、民泊にして管理を日本国の中国系業者に任せるケースもあります。

こうした需要の中で、中国系の不動産業者やデベロッパーには、日本のマンションを中国人に売る大規模な商売をするところもあります。中には、抵当がべたべたついた不良物件を、その事実を隠して売る詐欺まがいのケースもあると中国系メディアが時々伝えています。日本の物件を舞台に中国人が中国人をだます、という犯罪パターンも生まれているんです」(社会部記者)

写真はイメージです(写真/Shutterstock)
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だが、今年に入り経営・管理ビザの発給要件が緩すぎる、という声がついに顕在化した。

「架空会社を設⽴して入国した中国人が日本の健康保険制度に“ただ乗り”していると批判する記事や、他国では同種ビザで求められる資本金の額は数千万円規模なのに日本は“格安”だと指摘する記事が相次いで出されました。

これに石破茂首相が4月上旬、『経営・管理の在留資格で⽇本に在留する外国⼈富裕層が増え、そのなかに在留資格にかかわる営業の実態が確認できない事例がある旨の報道があったことは承知している』との政府答弁書を提出。その後、出⼊国在留管理庁が、経営・管理ビザの取得要件を厳格化する調整に入ったのです。この動きは6月に入ってから報じられ明るみに出ました」(日中関係筋)

石破茂首相(首相官邸Xより)
石破茂首相(首相官邸Xより)
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 在日本中国大使館が「不動産購入を慎重に」と呼び掛けたのは、出入国在留管理庁が水面下で制度改正に動き始めた時期のことだ。

今後、求められる資本金額が大幅に引き上げられるだけでなく、ビザ取得に求める項目が厳しくなるとの見方が出ており、日中当局は神経戦を繰り広げているもようだ。

「中国大使館は当然、制度改正の動きを察知したはずです。その先に不動産売買規制強化もありうるとみて、日本政府や世論を刺激する派手な不動産購入はしばらく控えろと求め、その理由を地震でとり繕ったんでしょう」と鈴木氏は分析する。

デタラメな「大地震」の流言の裏で、日本社会の将来の姿に影響する制度変更の動きが進んでいる。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班