「2万円給付」は総スカン…頼みの綱は「進次郎人気」だけ? 

一方、石破首相は6月15~18日の日程でG7サミットに出席するためカナダを訪れたものの、米国・トランプ大統領との首脳会談では関税措置をめぐる合意には至らなかった。

自民内からは「参院選前に関税交渉で合意できれば、大きなアピールになったが、あと1ヶ月での進展は難しいのでは」とため息も漏れる。

G7サミットに出席する石破茂総理と各国の首脳(首相官邸Xより)
G7サミットに出席する石破茂総理と各国の首脳(首相官邸Xより)

さらに、参院選公約の目玉として打ち出した国民1人あたり2万円給付(住民税非課税世帯の大人とすべての子どもにはさらに1人あたり2万円上乗せ)への世論の反応もイマイチだ。

朝日新聞の世論調査では2万円給付について「評価しない」が67%にのぼった。世論の批判を受けて一度は取り下げたはずの現金給付を再度持ち出してきたという一貫性のない「バラマキ」に、厳しい目が注がれている。

それだけに参院選では、進次郎氏が進めている備蓄米放出が一番のアピールになるというのだ。

「今のところ参院選の売りは『進次郎』しかないので、進次郎ブームがあと1ヶ月続くか、コメ価格下落の恩恵を多くの有権者が実感するか、ということをドキドキしながら見守っている状況だ」(自民議員)

小泉進次郎氏(本人Xより)
小泉進次郎氏(本人Xより)

それでも「進次郎首相」誕生は容易ではなく、石破首相はホッ? 

「次の首相1位」「参院選の看板」と、存在感を増す進次郎氏。それでも、石破氏に代わって首相の座に就くのは容易ではない。

石破首相は訪問先のカナダでの会見で「政権与党として喫緊の課題に決して隙間を作ることがないよう全力を尽くす」と発言。衆院解散には否定的な考えを示した。参院選に集中し、現在の情勢調査どおり自公が非改選と合わせ過半数を確保できると、石破おろしの機運は起こりにくい。

さらに、昨年衆院選を行なったばかりのため、衆院選をすぐに実施する必要はなく、国民人気のある進次郎氏をすぐに担ごうという雰囲気が自民党内に生まれているとは言いがたい。

また「『トランプ関税』をめぐる交渉の難航がこのまま続くと、進次郎首相では不安だ」(自民議員)との声も根強い。

「石破首相としては、進次郎氏に都議選・参院選の『顔』として活躍してもらい、夏ごろにあるとみられる内閣改造でも留任させて政権内にとどめ置き、自身はなるべく長く首相を続けたいのだろう」(同)

石破茂総理(本人Xより)
石破茂総理(本人Xより)
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看板・進次郎氏の登場で「余裕」も見せる自民と石破首相。22日に投開票が行なわれる都議選と、約1ヶ月後に行なわれる参院選の開票後も安堵の表情でいられるだろうか。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班