「自分にとって都合のいい材料ばかりをみて、甘すぎる現状認識」

折しも、6月1日にJNNが発表した世論調査では、石破政権の支持率は34・6%と、前回調査から1・3%上昇。コメの価格が前年比約2倍の4000円以上に高騰したことが深刻な問題化となる中、小泉進次郎農水相(44)が備蓄米を随意契約により安価で迅速に市場に供給した効果を指摘する声もある。

「ワイドショーなどでも小泉氏を好意的に取り上げ、“小泉劇場”だという声も出てきている。支持率下げ止まり傾向との指摘もあり、石破さんは意気軒昂です。周辺には『備蓄米の次は、生産者米価調整だ』と語り、コメ問題に注力する意向です」(石破氏周辺)

こうした中で浮上したのが、「内閣不信任案提出なら衆院解散」という方針だった。その背景には、石破総理の「衆院選になったとしても、今なら勝てる」という打算があったのではないか。自民党の参院中堅はこう語る。

備蓄米を手に持つ進次郎農相(本人SNSより)
備蓄米を手に持つ進次郎農相(本人SNSより)

「石破さんは『小泉さんが出てきて、スーパーで2000円の備蓄米が販売されるようになったから選挙に勝てる』というような甘すぎる展望を描いているのではないでしょうか。

石破さんは国会でも『日本の財政はギリシャよりも悪い』などと言うばかりで、この国をどうしていくのかというビジョンに乏しすぎます。野党が掲げる消費減税に対抗できる目玉政策を打ち出せていません。そんな中でも自民党が五月に行なった情勢調査は、自公で過半数割れしないという、なぜか楽観的すぎる結果でした。しかし、参院候補者たちは誰も真に受けていません。

石破さんは自分にとって都合のいい材料ばかりをみて、甘すぎる現状認識をもっているのではないか。だから、内閣不信任案が出てきたら『衆院解散する』というような自信過剰すぎる話が出てくるのでしょう」

振り返れば、石破総理は昨年の総裁選前に、知人との会食の席で、「俺ほど候補者の応援演説に行っている政治家はいない」「俺に選挙を仕切らせたら負けないよ」などと、自身の“選挙巧者”ぶりをやたらとアピールしていた。しかし、いざ総理として挑んだ昨年の衆院選は、与党過半数割れの惨敗という結果だった。

リーダーの楽観的すぎる見通しほど、怖いものはない。

石破総理(本人Xより)
石破総理(本人Xより)
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取材・文/河野嘉誠