インバウンド客の消費税の免税制度については、以前から不正に制度を利用し、転売で利益を得る問題が指摘されている。外国人が免税店で商品を大量に購入し、国内で転売、利ザヤを稼いでいるのだ。

当然、転売の場合は消費税の納付対象だが、政府によると、1億円以上の高額購入をした外国人の9割は捕捉できておらず、捕捉できたとしてもほぼ全員が消費税を滞納したまま国外へ出国しているという。

免税購入者は、出国時に税関へ旅券を提示しなければならないのだが、多額の不正を行なおうとする者は、旅券の提示を回避するなどにより、多くの者が税関検査を逃れているのが実態だ。

これに対して、政府は2026年11月より、事後に消費税分を還付する「リファンド形式」に改めることで改善を図る予定だ。

しかし、そもそもインバウンド客に対して免税をする必要があるのかも含めて検討すべきでは?というのが今回の動きである。麻生氏によると、外国人の免税額は捕捉されているだけで2000億円あり、廃止すればこの分の税収増が見込めるという。

不正の根本的な対応策となるだけでなく、税収増にもなる一石二鳥の施策ということだろう。

麻生太郎・自民党最高顧問(画像/自民党HPより)
麻生太郎・自民党最高顧問(画像/自民党HPより)
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現在、今年4月の訪日外国人の数は390万人となり、過去最多を記録した。まだまだ円安は続いており、「安いニッポン」状態は継続中だ。その国内消費額は8兆円にも及び、消費意欲は旺盛である。

インフレで日本人が苦しむ中で消費税を納めていることを考えると、消費に前向きな外国人に消費税を払ってもらうのも選択肢のひとつだろう。

ネットでも、「なぜそもそも今まで免税だったのだろうか」「今すぐぜひ」「免税だけでなくむしろインバウンド税を設けるべき」といった声が相次いだ。

一方でせっかく盛り上がっているインバウンドの機運をしぼませてしまうのではという指摘もあった。

実際に外国人観光客や日本人買い物客はこの免税撤廃についてどう感じているのか。買い物客でにぎわう新宿で話をきいてみた。