「SNSに動画を投稿するコメ農家も増えてきているので」
ある近隣住民は「被害を受ける直前に知らない廃品回収の車がここら辺をぐるぐる回っていた。めったにないことで顔も見たこともない人だった。もしかしたらあれが下見の車だったかもしれない」と打ち明ける。
近隣で立て続けに起きた事件をめぐってはその後の進展はなく、被害にあった家すべてが「警察からその後、なんの連絡も来ていません」と口をそろえた。
コメ泥棒は筑西市だけの話ではない。2024年9月には関西地方を中心とした連続窃盗事件が発生している。奈良県、京都府、滋賀県で計約1.6トンのコメが盗まれた。新潟県では今年2月、施錠していた保管庫のコメ計150kgが盗難被害にあった。
同月には青森県で1トン以上のコメが盗まれ、青森県警は3月に窃盗の疑いで30代の男を逮捕した。男性は容疑を認めており、「転売目的」と供述している。
4月には千葉県旭市で計1トン以上のコメが盗難にあった。5月には福島県白河市で青果店に男2人が侵入し、店内から5kgのコメが盗まれた。
コメ泥棒の余波はどうなのだろうか。
農家を対象に営業支援をする都内の会社の経営者は「相次ぐコメ泥棒で、全国各地のコメ農家がいま、鍵を買い換えるなどの対策を始め警戒心が高くなっています。農産物のPRとしてSNSに動画を投稿するコメ農家も増えてきているのですが、住所がわかってしまう危機感などから投稿を止めたりする人も出てきています」と解説する。
あるフリマアプリ会社の関係者は、「コメに名前やシリアル番号もないので、こちらで盗品だという判断がなかなかできず、警察の判断が必要な場合がほとんど。盗品の出品をなくすのは無理がある」と述べる。
いっぽうで大手フリマアプリ「メルカリ」の担当者は集英社オンラインの取材に対して、「システムも活用した24時間365日の監視やお客さまの通報などから出品物が盗品だと判断されれば、当該商品の削除や出品者の利用制限等、状況に応じた対応を実施している」と説明。
さらに「初回の出品時に氏名・生年月日といった本人情報の登録を必須化するなどし、不正利用者のモニタリングや、警察・捜査機関への捜査協力の際に活用しています。これらの取り組みを通じて、不正出品の抑止に努めています」と続けた。
一日も早くコメ泥棒たちが捕まることを願いたい。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班