「今のままでは農業は成り立たなくなる」デモ参加者たちの訴え
東京で3月30日に行なわれた「令和の百姓一揆」のデモ活動。コメの価格高騰に国民から悲鳴があがる中、全国の農家たちが立ち上げたこの活動では、農業従事者の所得の低さや離農の加速といった農家の窮状が訴えられた。
鹿児島県の離島・種子島のサトウキビ農家・矢吹淳さん(51)は、14年前の東日本大震災で被災し、その後、今の遠く離れた地で農家になった。
「昨日、種子島から飛行機に乗ってやってきました。もともと山田正彦先生のドキュメンタリー映画に出させていただいたこともあり、以前から今のままでは農業は成り立たなくなるし、変えていかなきゃいけないという思いはありました。
私自身は震災後に福島県から種子島に移住してサトウキビ農家を始めたので、それほど長い間農家として生きてきたわけではありませんが、それでも今の農業に危機感は持ちます。コメ農家だけでなく、サトウキビ農家も年々減っています。
種子島の黒糖といえば100年以上続く伝統製法があるのですが、後継者不足に悩まされています。収入面でも、サトウキビ1トンで2万円程度ですから、例えば年10トンだと年収約20数万円という感じです。個人で小さな規模でやっている場合、サトウキビだけで生活していくのは厳しいというのが現状だと思います。
私の場合、有機栽培や手刈りという独自製法を行なっているという強みを活かして、収入面でもどうにかなっていますが」
茨城県から来たという女性はコメ価格高騰をきっかけに問題意識に目覚めたという。
「おコメの値段が2倍近く高くなって、それで何が起きているんだろうって興味を持ち始めた感じでした。コメ農家の方たちとも話すようにもなり、その方たちから『コメがない。こんなことは今までなかった』という話を聞くうちに今回の百姓一揆のことを知り、私も参加してみようと思ったんです。やっぱりこれからも安心してごはんを食べていきたいですから。だからこれ(プラカード)作って応援にきたんです」
70代の男性はこう言う。
「主催者の中に知り合いがいたのと、私自身も元は農業関係の仕事をしていたこともあって参加しました。農業がこのままでは滅びゆくという危機感は私も持っていますし、この活動を応援したいと思っています」