先物価格は急落するも、消費者が恩恵を受けるのはまだまだ先?
オレンジ果汁の先物チャートを見てみると、2025年4月中旬現在、価格は1ポンドあたり200セント台半ば。わずか4カ月ほどで半値近くにまで急落していることがわかる。
価格の落ち着きは、消費者にとって朗報だ。しかし、なぜここまで短期間で下がったのか?
ここ数年で高騰した理由も含め、公益財団法人中央果実協会に見解を尋ねてみた。
「近年のオレンジ果汁の高騰については、世界のオレンジ果汁市場の7割以上を占めると言われるブラジルで干ばつやカンキツグリーニング病の影響による不作が続き、2020年頃から果汁の製造量が毎年低水準にとどまっていることが要因として挙げられます。
また、米国における果汁用オレンジの主要産地であるフロリダ州でも、カンキツグリーニング病の影響で、20年にわたって生産量が大幅に減少しました。
近年はハリケーンの被害も多く、2014/15年度以降は(2015/16年度と2019/20年度を除き)アメリカ国内供給に占める輸入のシェアがおおむね50%を超える状態が続いており、世界的なオレンジ果汁の逼迫に拍車をかけています。
今年に入って先物価格が下落したのは、これから始まるブラジルの2025/26年度のオレンジ収穫量が改善する見通しが出ているためでしょう。ただし、これはあくまで“先物”の話であり、すぐに消費市場の価格に反映されるとは限りません」(中央果実協会・担当者)
事実、中央果実協会の指摘どおり、飲料メーカー各社はまだ先物価格下落の恩恵を受けられていないのが現状だ。
先述の「Dole® オレンジ 100%」を販売する雪印メグミルクに問い合わせたところ、広報担当者は「先物価格の落ち着きは把握しておりますが、現時点で具体的な販売再開の目処までは立っておりません」と回答。当面は、現在流通している200mlサイズのみの販売にとどまるという。
また、「サンキスト100%オレンジ」の販売元である森永乳業の広報も、「こちらの商品については、現時点で再開の予定はございません」とコメントした。
再開の目処すら立たない以上、値下げが実現するはずもない。オレンジジュースが身近な飲料として楽しめる日は、もう来ないのかもしれない。