立憲内からは「弱腰」と不満も、野田代表の「生かさず殺さず」戦略
「ケチ」「付き合いが悪い」との評判もありつつ、その分「政治とカネ」に関してはクリーンなイメージがあったはずの石破首相が起こした商品券問題。
発覚直後から永田町では、予算が年度内に成立せず、野党が内閣不信任案を提出し、4月下旬や5月上旬~中旬に衆院選が行なわれるというシナリオがささやかれ始めた。
ただ、すぐに不信任案を提出するという機運はしぼみつつある。立憲の野田佳彦代表は、不信任案の提出よりもまずは政治倫理審査会での首相の弁明を求めている。
「少数与党なので野党が一致すれば不信任案を可決できるが、立憲としては、いま不信任案を出して衆院を解散されても、国民民主に反自民票を奪われてしまうという危機感が強い。
それに、参院選も人気のない石破首相と戦いたいのが本音。石破首相を『生かさず殺さず』で参院選まで戦ってもらう戦略に出た」(全国紙政治部記者)
立憲議員からは「党執行部はこれまで野党第一党ということに安住しすぎて、いつの間にか国民民主に政党支持率で抜かれて、焦っているのが見え見え。弱腰の姿勢だ」とあきれ声もあがるが、不人気な石破首相のまま参院選を戦いたい立憲の思惑と、自身の招いた問題を乗り越えてなんとか延命したい石破首相の願いが一致した形だ。
自民党全体に飛び火…やはり後始末は石破首相になすりつけ?
一方、自民党内でも一気に石破おろしが起きているというわけでもない。
西田昌司参院議員が「予算を通したら、もう使命を果たしたのだから、退陣されるのが正解だ」などと発言するなど、参院を中心に首相の退陣論も出て、党内に不満は山積しているが、現在のところ、石破おろしの動きは限定的だ。
その背景には、これまで自民党内で商品券の贈答はめずらしくなく、タイミングが悪かったとはいえ石破首相を表立って糾弾できる議員も少ないということがある。
朝日新聞など各社は19日、岸田文雄前首相が在任中に商品券を政務官に配っていたことを報道。岸田氏は「会合は法令に従い適正に行なっている」などとして、商品券の配布を明確には否定しなかった。
実際に自民関係者も「お土産、役職への就任祝い、お礼などの形で、商品券を贈ったりもらったりすることは、長く当たり前に行なわれてきた」と話す。