「公式の場では、人を傷つける発言、事態を混乱させるような発言は慎むべき」 

これだけ問題が多いと指摘される告発者捜しについて斎藤知事は「(告発文書は)誹謗中傷性が高く、公益通報ではない」として、処分は妥当だったとの考えを変えていない。

それどころか、百条委報告で違法性の指摘を受けた3月5日には記者会見で、Aさんのパソコンには「わいせつな文書」があったと言い始め、情報公開請求があれば開示を検討することも示唆した。これには県職員から「井ノ本総務部長や岸口、増山両県議がやったAさんを貶める印象操作を自らやり始めた」と強い批判が起きている。

第三者委の報告書はこの経緯に触れたうえで、結語で「本調査委員会が最も述べたいこと」として「組織の幹部は、感情をコントロールし、特に公式の場では、人を傷つける発言、事態を混乱させるような発言は慎むべき」とまで言及した。

3月5日、兵庫県議会本会議で百条委報告が読み上げられるのを聞く斎藤元彦知事(撮影/集英社オンライン)
3月5日、兵庫県議会本会議で百条委報告が読み上げられるのを聞く斎藤元彦知事(撮影/集英社オンライン)

これにかぶせて第三者委のトップを務めた弁護士の藤本久俊委員長は報告書公表後の記者会見で、斎藤知事が昨年3月にAさんを「嘘八百」「公務員失格」と発言したこと自体が「パワハラであった」と断言した。

「斎藤知事が示唆したAさんのパソコンの中身の開示は、公益性がないとして3月18日に県人事課が行なわないことを決めました。藤本委員長は会見でこのことに触れ、『県は自浄力を発揮していただいたなと、少しほっとした気分でおります』と発言しました。その目は心なしかうるんでいるように見えました」(地元記者)

Aさんの告発の正当性と、処分の不当性は、ほとんど動かしがたいほど評価が固まった。今後の斎藤知事の言動に注目が集まりそうだ。

兵庫県庁(撮影/集英社オンライン)
兵庫県庁(撮影/集英社オンライン)
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班