総工費1億円以上のバス車内のこだわりは…
東京駅から新幹線で3時間かけて姫路駅(兵庫県)に降り立った。日本初のユネスコ世界遺産に登録された姫路城の存在感を背後に感じながら、駅前で出迎えてくれたのは、鮮やかなブルーの車体が印象的な定期観光バス「YUI PRIMA OLIVIA」(神姫バス)だ。
神戸・姫路・倉敷・宇野港・高松港・松山・今治・宮島口・尾堂-といった瀬戸内の主要都市と観光地を結ぶ全8ルートを最大6日間かけて定期運行する。もちろん1日のみの乗車も可能で、気になるスポットで降車し、伝統工芸体験や歴史的名所を観光・宿泊できる。首都圏在住者やインバウンドのアクティブ層を中心に、なかなか足を伸ばしづらい瀬戸内エリアの魅力を知ってもらうことが狙いだ。
今回は8ルートのうちの一つである「世界遺産姫路城発・岡山県倉敷市の散策コース」を体験すべく、午前11時に姫路駅を出発し倉敷へと向かった。
バスに乗り込むと、木材を基調とした車内の至るところに植物柄のデザインがほどこされ、暖かく落ち着いた雰囲気に仕上がっていた。
バスの総工費は1台につき1億円以上という力の入れよう。バス全体のデザインを担ったのは、世界的デザイナーとして知られる水戸岡鋭治さんだ。
車体のブルーは、瀬戸内海の壮大な自然をイメージし、車内のアーチ形の天井には日本の伝統美を取り入れた植物柄のデザインをほどこした。さらにハイタイプのワイドな窓で絶景を一望できる仕組みにしたうえ、バス後部にはバーカウンターも設置し、地酒も楽しめるようになっている。
「車内にはWi-Fiや化粧室も完備しており、全路線に日本語と英語対応の専属アテンダントも同乗しています。関西でインバウンドが増加する中、アクセスの課題を抱える瀬戸内エリアにも足を伸ばしていただきたく、長距離移動を快適に過ごせる工夫を至るところに凝らしています」(神姫バスの担当者)