報告書は「公益通報者保護法に違反している可能性が高い」と判断
斎藤知事の疑惑は昨年3月12日、退職間際だった西播磨県民局長・Aさん(60)が外部に郵便で知らせた。知事のパワハラや「おねだり」がひどいと指摘したほか、2023年11月の阪神・オリックス優勝祝賀パレードの協賛金を出した金融機関に県が国費補助を増額する裏約束をした疑いがあるなど、計7項目が書かれていた。
「これを知った斎藤知事は片山安孝副知事(昨年7月に辞職)らに犯人探しを命じ、特定されたAさんは退職を取り消され、懲戒処分を受けました。
さらに、Aさんの県公用パソコンの中から見つけた私的な文書データを印刷したものを当時の井ノ本知明総務部長が県議らに見せて回りました。
百条委でも、維新所属で副委員長だった岸口実県議と委員だった増山誠県議がデータの開示を要求。受け入れられませんでしたが、その結論が出る前日にAさんは自死したんです。
Aさんはデータが出回ることに苦しんでおり、『一死をもって抗議をする』『百条委を必ずやり通してほしい』と書き残していました」(知人)
死をきっかけに、県のAさんへの仕打ちが告発者の不利益な扱いを禁じた公益通報者保護法に違反しないかどうかも百条委の調査項目に加わった。
「その後、昨年11月の出直し知事選で、岸口、増山両県議らから怪文書などを受け取った立花孝志NHK党党首が、その内容を基に『疑惑は嘘で、斎藤さんはハメられた』との主張を展開しました。Aさんのパソコンの中身だという真偽不明の話が拡散され、“黒幕”として名指しされた百条委メンバーだった竹内英明県議や奥谷氏らは猛烈な誹謗中傷を浴びました。攻撃は選挙後も続き、竹内さんは県議を辞職しましたが今年1月に亡くなりました。自死とみられます」(県議会関係者)
調査の重要人物が2人も亡くなる異様な展開の末、怪文書伝達などの責任を問われた岸口、増山氏が辞任して去った百条委は3月4日、遂に報告書の内容を固めた。
「県職員の証言や専門家の意見を基に、報告書はAさんの処分を『公益通報者保護法に違反している可能性が高い』と判断しました。パワハラやおねだり疑惑も告発をほぼ認める内容です。パレード絡みの公金不正支出疑惑も、背任容疑で県関係者が起訴されれば『管理責任を重く受け止め対処せよ』と斎藤知事に求める厳しい内容になっています」(県議会関係者)
斎藤知事は昨年3月27日の会見で、告発は「事実無根」「嘘八百」だと罵倒した。これに百条委は「文書には一定の事実が含まれている」と結論付け、県の対応は「全体を通して客観性、公平性を欠いており、行政機関の対応としては大きな問題があった」と断じた。