メジャー2年目に上積みが期待できる理由

 昨季右肩の故障から復帰以降は好投、さらにポストシーズンでは4試合に先発し、2勝を含め安定した投球でワールドシリーズ制覇に貢献したことが、ロバーツ監督の信頼の裏にあるのだろう。

もちろん、東京ドームに慣れていることもあるが、メジャー2年目の今季は上積みを期待できる要素がたくさんある。

特に大きいのは環境面だ。昨季終盤の活躍は、異国のリーグに適応していったこともあるだろう。特にシーズン終盤、変化量の多いカーブとフォークをうまく織り交ぜ、ストレートも制球よく投げていくスタイルは、ヤンキース在籍時の田中将大(現巨人)を彷彿とさせるようなピッチングだった。

それを今季どうアップデートしていくのか。特に使い方も含めてストレートをいかに改善するかは、今季の大きな見どころの一つになる。

「(去年は)ドジャースの方々にいろいろな面で助けていただきました。今年は2年目なので、チームの一員としてやっていけるように頑張ります」

ドジャースの本拠地・ドジャースタジアム
ドジャースの本拠地・ドジャースタジアム

謙虚に語った山本自身だが、2023年から取り組むクイックのような投げ方は完成度を増していくはずだ。

今の投げ方の原点にあるのが、オリックスに入団して1年目のオフ、やり投げやブリッジを始めとする独特な練習(BCエクササイズ)に本格的に取り組み、身体の使い方をフルモデルチェンジしたことだった。

呼吸法や歩き方から始めて身体全体を青竹のようにしならせて使う独自の投球フォームを身につけると、高校時代から悩まされていた右肘痛から解放されると同時に、強い威力の速球や鋭く落ちるフォーク、カットボールに磨きをかけた。

そうして高卒5年目の2021年から史上初の3年連続MVP&沢村賞という偉業を達成し、ドジャースと巨大契約を結んだ。

高卒2年目に右腕を大きく引いて投げるような投球フォームに変えた当初、オリックスの首脳陣は反対し、周囲は「アーム投げ」と否定したが、そうした見方をする者はもはや誰もいない。

逆に、山本の取り組みは“模範”とされている。その一つが、やり投げと言われる練習法だ。正確にはフレーチャ(スペイン語で「矢」の意味)という器具で、山本が師事する矢田修トレーナーが監修した。