「勝鬨橋ひらけ!の巻」(ジャンプ・コミックス71巻収録)

今回は、隅田川に架かる巨大な橋をめぐる、両年時代の両さんが見せる同級生・純への熱い友情を描いたお話をお送りする。

奥多摩から続く荒川を源流とし、東京湾へと流れ込む隅田川は、江戸時代から長い間、東京の物流を支えてきた。なにしろ陸路における物流手段は、人が荷車を押すか、せいぜい馬や牛に牽かせる程度……という時代だ。世界有数の人口を抱える大都市、江戸には水路の存在は不可欠であった。

そしてそのもっとも下流、つまりは東京湾の入り口近くに、本作の舞台となる勝鬨橋が架かっている。1940年に架けられたこの橋は、大型の船を通すため開閉する仕掛けを持つ巨大な跳開橋(ちょうかいきょう)で、「東洋一の可動橋」と評されていた。

しかしモーターリゼーション、つまりは陸運の発展で水運の需要が減少すると、1967年を最後に通航のための跳開を停止された。本作は、そんな時代のお話である。

……と書くと感傷的な気分になるが、実は両さん、本作以前にこの勝鬨橋を破壊してしまったことがある。

「春の舟遊び!?の巻」(ジャンプ・コミックス第39巻収録)で両さんは、巨大客船を勝手に操舵して東京湾から隅田川に突入し、勝鬨橋(当然閉鎖されているので、大型船は通れない)や永代橋に激突&破壊している。

少年時代の思い出深き場所になんてことを……と思ってしまうが、ある意味、両さんらしいといえばらしいかもしれない。

「春の舟遊び!?の巻」より
「春の舟遊び!?の巻」より

なお、大人になった両さんと純の再会を描いたエピソード「勝鬨橋、再び開く!!の巻」(ジャンプ・コミックス189巻収録)も、必読の感動作だ。

それでは次のページから、勘吉少年が友のために奮闘するお話をお楽しみください!!