「江戸っ子すし講座の巻」(ジャンプ・コミックス47巻収録)

今回は、中川と麗子を連れてちょいと高めの寿司屋に入った両さんが、店の大将との意地の張り合いから、嫌がらせの応酬を繰り広げるお話をお届けする。

もともと寿司は、魚と米と塩で発酵させた「なれ寿司」がそのルーツだ。1800年代になると、江戸湾で取れた魚介と酢飯を使った握り寿司が登場し、独身者の多い大都市・江戸で屋台を中心としたファストフードとして大流行した。

当時は冷蔵庫どころか氷を手に入れることもほぼ不可能だったため、ネタは醤油で煮詰めたり酢でしめたり……といった「仕事」を加えるのが当然だった。

そして次第に、店を構えた寿司屋が登場し、寿司はやや高級な食べ物となっていった。これは鰻や天ぷらも同様で、ストリートフードが人々に広く受け入れられるにつれて、食事としてのランクが上がっていったのだ。

そして、1923年に起こったとある出来事が、握り寿司が日本全国に広まるきっかけとなった。それは、関東大震災だ。地震によって仕事や店を失った寿司職人が出身地に帰り、店を開いたことにより、江戸前寿司は東京のローカルフードから全国区の食べ物に変貌していった。

その後、1940年代の第二次世界大戦の敗戦後にも、同様の現象が起こっている。

さらには1960年代から電気式の冷蔵庫が普及すると、生のネタを存分に扱えるようになり、現在に至る江戸前寿司の原型がほぼ完成した。

ちなみに、本作で登場した寿司店「大尽ずし」は、1990年代初頭のバブル崩壊によってすっかり左前になってしまい、1993年にはロボット導入の回転寿司店へとリニューアルしていた。

寿司を握るロボットなど現代では当たり前であり、配膳までロボットがする時勢だが、本作の続編に当たる「寿司ロボ・にぎっ太くん!の巻」(ジャンプ・コミックス第84巻収録)で登場した寿司ロボットは……? 両さんと大将が因縁の再会を果たすこのお話も、ぜひ読んでみてほしい。

「寿司ロボ・にぎっ太くん!の巻」より。等身大の人間型である必要がいったいどこに……!?
「寿司ロボ・にぎっ太くん!の巻」より。等身大の人間型である必要がいったいどこに……!?

それでは次のページから、江戸っ子同士がとことんくだらない意地の張り合いで徹底バトルする、大騒動の顛末をお楽しみください!!