人の気持ちがわかるように
(5)コミュニケーション能力が向上する
没入読書を実践することで、人の気持ちがわかるようになってきます。
「人の気持ちが全然わからなかったのに、わかるようになってきて、人間関係がすごくよくなってきた」という声を多くいただきます。
アメリカのスタンフォード大学の准教授ジャミール・ザキは、物語が書かれた本を読むことで、他者に対して思いやりをもつことや共感、共鳴をすることができるようになり、本を読む前よりも、コミュニケーション・スキルがアップしているといいます。
また、アメリカのオハイオ州立大学の心理学者フィリップ・J・マゾッコらの研究によると、LGBTや移民が主人公となる物語を読ませると、LGBTや移民のコミュニティに対する偏見が改善されたといいます。
さらにこのような研究もあります。アメリカのワシントン・アンド・リー大学の認知行動科学教授のダン・ジョンソンによる実験です。
人種差別主義者から攻撃を受けそうになったアラブ系アメリカ人女性に関するフィクションのストーリーを用意しました。
全体の半分のグループAには、「完全なストーリー」を読ませます。
残りの半分のグループBには、「要約版」を読ませます。
要約版は、内容のニュアンスや雰囲気は一緒のものの、感情を揺さぶるシーンや会話などが一切含まれていません。
結果、完全なストーリーを読んだグループAの方が、要約版を読んだグループBよりも、イスラム教徒に対して思いやりをもっていました。偏見の意識も読む前よりも低くなっていました。
完全なストーリーの方が、感情を動かされたことで没入できたと考えられます。
私自身、高校生までずっとひとりよがりの考え方でした。
しかし、大学受験で浪人し、ちょっとした人生の挫折を味わいました。そこで人生を振り返った中で、「生きづらかった」ということに気づきました。
心からの友だちといえる人がいなかったのです。
人に相談することも苦手でした。
そこで頼ったのが本でした。