〈2030年の不動産〉バブル崩壊・リーマンショック超のグレートリセット懸念のなか、日本の不動産が中長期的に有望と言えるワケ
異次元の不動産格差時代がやってくる。人口減少、金利上昇、外国人投資家の急増、気候変動――マクロな変化が不動産市場を根底から揺るがすことはもう避けられない。住宅ロ―ン金利をはじめ、市場ルールが次々と変わる中、日本の不動産市場に明るい未来はあるのか。
『2030年の不動産』(日経BP/日本経済新聞出版)より一部抜粋・再構成してお届けする。
2030年の不動産#1
日本株優位の中で懸念される世界的なグレート・リセット
有事の際は、国内で円がたくさん必要になることから、海外の株式や債券などが売却され(円が買い戻され)、必然的に円高になります。一方で株価はまず間違いなく下落するので、日本における有事の局面では原則として円高・株安になります。
しかし、平常時に為替が円高に振れたからといって、全体相場で株安になることには裏づけとなる理由がありません。しかし、マーケットでは「円高→株安」というのが、突っ込んだ検証もされないまま共通見解とされています。
この矛盾は近い将来、修正される日が来るでしょう。多くの人が円を買うから為替は円高になる。買われた円が日本株や日本の不動産に回っていくことで、株高や不動産市場の上昇につながる。これが矛盾のない構造です。この修正が実現すれば、円高かつ株高となり、世界のマーケットの中で日本株が一人勝ちすることになるかもしれません。
ただ、日本株が独歩高でバブルが起こったとしても、いずれ世界的なグレート・リセットが起こり、1990年のバブル崩壊や2008年のリーマン・ショックのような歴史的な金融危機をはるかに超えたレベルで大暴落する可能性もあります。
グレート・リセットで金融システムがリセットされても、すでに内憂が広がっていた西側諸国などと比較すると、日本が受ける影響は小さくて済むと予想されます。しかし、株などのペーパーアセットに対する価値観は大きく変わるでしょう。
一方で、不動産のような実物資産は、自然災害などの特殊要因を除き、一夜にして価値が激減するリスクが低いもの。その意味で、日本の不動産は中長期的に有望と言えるのです。
バブル崩壊、リーマンショックを超える恐慌の可能性も…
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長嶋修●ながしまおさむ/さくら事務所会長、らくだ不動産顧問、日本ホームインスペクターズ協会理事長、さくら事務所会長。らくだ不動産顧問。日本ホームインスペクターズ協会理事長。国交省・経産省等委員歴任。多数のメディア出演 ・講演・出版・執筆活動で政策提言や社会問題全般。
文/長嶋修 写真/shutterstock
『2030年の不動産』(日経BP/日本経済新聞出版)
長嶋修
2025年3月11日
990円(税込)
216ページ
ISBN: 978-4296120260
【内容紹介】
85%の地域が下落する?――不動産「三極化」時代に備えよ!
異次元の不動産格差時代がやってくる。人口減少、金利上昇、外国人投資家の急増、気候変動――マクロな変化が市場を根底から揺るがす。
「価値が落ちない中古マンションの選び方とは?」「生き残る戸建てと消える戸建ての決定的な差とは?」「上昇し続けるコストとどう向き合うか?」など、不動産のプロフェッショナルが市場の未来を徹底分析。
市場のルールが変わる今、正しい知識がなければ、大きな損失を招く。
不動産の購入や売却を考える方はもちろん、市場の未来を見据え、賢い選択をしたいすべての人に贈る1冊。
◆本書の内容より
・下がりにくい物件、高騰する物件の4条件とは?
・国道16号の外では売るのも貸すのも難しくなる
・住宅ローン金利はこれからどうなる?
・2001~03年、2010~14年竣工の中古はなぜ狙い目なのか?
・和光市、藤沢市、堺市北区…これから注目のエリアは?
【「不動産のあれこれ三極化診断」がダウンロードできるQRコード付】
【目次】
はじめに 「グレート・リセット」にどう備えるか
序章
2030年の不動産市場を揺るがす7つの変化
第1章 異次元の不動産格差時代がやってくる
第2章 2030年、マンションの選び方はこう変わる
第3章 2030年の戸建市場の行方
第4章 2030年に“地価が上がる”地域とは?
第5章 2030年の住宅コストと不動産投資