海外の投資家から熱い視線を浴びる日本市場

私は逆に、これからの日本株には上昇につながる材料のほうが多いと見ています。「はじめに」でも述べたように、今後の世界経済におけるアジアのプレゼンスは高くなる見通しで、日本もその恩恵を受けるでしょう。日本はアジア随一の先進国であるため、投資家からしてみると資金の預け先として安心感があります。

また、今後の政局次第ではあるものの、ここから先は米国株や米ドルが弱含み、「とりあえず米国に投資しておけばいい」という米国礼賛一辺倒のムードが激変する可能性も大いにあります。BRICSが台頭していることに加えて、米国国内にはあらゆる意味での分断があり、今後の没落を示唆する要素は数え上げるとキリがありません。

実際に米国が没落への道をたどり始めれば、緊急避難的に円が買われることが想定されます。マーケットでは「円安になると株価は上がり、円高になると株価は下がる」のがセオリーとされています。

日本は輸出企業が多く、円安になると海外で稼いだ外貨を円に戻したときの売上高が増えるから、株高につながるというのがその根拠です。実際には日本は内需偏重の国であり、GDPの実に5%までも内需が占めています。

円安は輸出額の増加につながる一方で、輸入品の価格を押し上げます。ここ数年の日本は連続して貿易赤字が続いていますが、2022年から円安相場が始まっていたにもかかわらず貿易赤字だということは、輸入品の高騰を輸出の増加によってカバーできていないことを意味します。

よって、本来的には円高で株価が上がるほうが自然とも考えられるでしょう。

過去には、リーマン・ショックや東日本大震災の直後などに大幅な円高になりました。いずれのタイミングでも株価は大きく下落していたため、円高だと株価が下がるという法則は正しいように見えますが、歴史的な有事のときと平常時の円高とでは意味合いが異なります。

東日本大震災の直後には株価も下落した
東日本大震災の直後には株価も下落した