私立高校の次は通信制高校?

公立高校の学力検査による入試日が目前に迫ってきた。東京都立高校の試験日も2月21日に予定されている。

それに先立つ1月8日、東京都中学校長会と都教育委員会は2025年度の都立高校全日制等志望予定(第1志望)調査の結果を公表している。それによれば、都立高校全日制の志望率は前年度比5.01ポイント減の66.97%と、大幅に減少した。

東京都は、2024年度から世帯年収が910万円以上でも都内のすべての高校で授業料の実質的な無償化が始まっている。それもあって志望者が私立高校に流れ、都立高校の志望者を減らしたとも考えられている。

東京都生活文化スポーツ局私学部私学行政課の調査によれば、2025年度の結果はまだ公表されていないが、無償化が始まった2024年度の都内の全日制私立高校の志望者(一般入試)は6万967人と、前年度の5万4090人より、6877人も増えている。

大学への進学率などで私立高校に魅力を感じながらも高い授業料が壁になってあきらめていた受験生が、無償化で私立高校受験に舵を切ったと考えられる。

しかし、それだけが都立高校志望者が減っている理由ではないようだ。ほかにも理由がある。

都立高校志望者が大幅に減っている一方で、大幅に生徒数(在籍者)を伸ばしている高校がある。全日制高校よりも時間的なゆとりをつくりやすく、自由な学びを強調するところが増えている通信制高校だ。

2024年12月18日に文科省が発表した学校基本調査によれば、24年度の通信制高校の生徒数は29万87人と、過去最高となった。公立の通信制高校で3年連続、私立では28年連続の生徒増だという。

10.7人に1人は通信制に 画像/文科省の資料からベネッセが作成
10.7人に1人は通信制に 画像/文科省の資料からベネッセが作成

通信制高校といえば、なんといっても学校法人角川ドワンゴ学院が2016年4月に開校したN高等学校(N高)が有名だ。

このN高の登場で通信制高校のイメージががらりと変わり、生徒数を増やすきっかけになったといっても過言ではない。

あまりに志望者が多いためか、角川ドワンゴ学院は2021年には同じ通信制高校のS高等学校(S高)を開校し、さらに今年4月にはR高等学校(R高)を開校する予定である。ほかにも、次々に通信制高校が誕生し、通信制課程を設ける高校も増えている。