日本郵便の受け止めは…

 また東京都に住む40代の会社員の男性は、「時世に合わせて昨年、年賀状じまいをしました。卒業以来、毎年やり取りさせてもらっていた地元の恩師にも、その旨を伝える年賀状を送ったんですが…。

しばらく経って、地元の友人づてに『先生が、年賀状じまいのはがきが届いたこと、すごく寂しがっていたよ』と聞いて、申し訳ないことしたなと思いました」

と、率直な思いを吐露した。

ほかにも、

「年賀状じまいをしたことで喪中の連絡が途絶え、良くしてくれた友人の家族や兄弟、またその本人の生死すら分からなくなってしまって残念です」(山形県在住、80代女性)

「『もう随分会ってないし儀礼的だもんな』って思って、数年前に年賀状じまいをしたんですけど、完全に交流が途絶えました。じゃあLINEやメールで『あけおめ』ってするかっていうと、普段連絡取ってない分、気が引けてしまって。

年1だけ連絡する距離感の相手だったら年賀状の方が良かったなと思うし、遠方の方々や頻繁に連絡取ってない知人の年賀状って大事だったんだなって辞めてから気付きましたね」(神戸市在住、30代女性)

高齢者は生存確認や喪中の知らせが届かないことに対し、そして若者~中年は、お世話になった恩師や遠方の知人など、唯一の繋がりだった年賀状の挨拶が途絶えたことへの寂しさに後悔する声が比較的多く聞かれた。

時代とともに変わりゆく正月の挨拶文化を、日本郵便はどう受け止めているのか。

「年始に挨拶を交わす文化は、長い年月をかけて私たちの生活に根付いたものであり、年賀状のニーズは根強く存在すると考えております。

年賀状による年始のごあいさつという日本の伝統文化、ひいては、紙を書くよさや手紙文化をしっかり残し、継承・発展させていければと考えています。

そのため、お客さまに喜んでいただける商品のご提供などを通じて、さまざまな取り組みを行っております」(日本郵便担当者)

伝統的な手段でも、デジタルな手段でも、それぞれが気持ちよい挨拶で新年を迎えられることを願っている。

取材・文/木下未希 集英社オンライン編集部

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