中山美穂が表紙というだけで雑誌の発行部数を積んだ時代

そのタレントを表紙に起用する際には、それだけで発行部数を積む時代があった。
記者が女性ファッション誌の編集現場にいた90年代はまさにそんなとき。

山口智子、浜崎あゆみ、安室奈美恵……そして「中山美穂」も間違いなくそうした女性タレントのひとりだった。

90年代の中山美穂さんの活躍は、それまでのアイドル歌手的活動から、女優と歌手の絶妙なバランスをとったものへと変化し、大躍進となった。

1990年10月のいわゆる“月9”ドラマ「すてきな片想い」(主題歌『愛してるっていわない!』)に始まり、翌1991年10月、こちらも月9の「逢いたい時にあなたはいない…」(主題歌『遠い街のどこかで…』)、さらに翌1992年10月は新設の水曜劇場で「誰かが彼女を愛してる」(主題歌『世界中の誰よりきっと』中山美穂&WANDS名義)、1994年1月のTBS系ドラマ「もしも願いが叶うなら」(主題歌『ただ泣きたくなるの』)と、主演するドラマと歌った主題歌をともに大ヒットさせていった。
うち『世界中の〜』と『ただ泣きたくなるの』はともにミリオンだ。

20枚目のシングル『愛してるっていわない!』(1990年10月22日/キングレコード) ドラマ「すてきな片想い」の主題歌で、同年のNHK紅白歌合戦に出演し、この曲を歌唱
20枚目のシングル『愛してるっていわない!』(1990年10月22日/キングレコード) ドラマ「すてきな片想い」の主題歌で、同年のNHK紅白歌合戦に出演し、この曲を歌唱
すべての画像を見る

女優、歌手としてこれほどの実績を築きあげるかたわら、中山美穂さんがこのころにもうひとつかちとったものがある。同世代の女性からの、それも当時でいうところの「OL」からの圧倒的支持と憧れだ。