SNSで知り合った仲間と「Cafe Bar アデハデ!」を開業
発達障害診断にショックを受けたARACOさんは、X(旧Twitter)でいわゆる “闘病アカウント” をフォローするようになった。そのオフ会で、同じようにADHDの症状がある、女性1人・男性2人と意気投合する。
「最初は、発達障害や精神障害があり、孤独な人たちの居場所を作りたくて、気軽に行けるバーを作ろうと話しました。決まってから開業までは、半年くらいです。店員同士で悩みを共有しやすく、素でいられる場所にしたかったです」
お店は、2023年7月にオープンした。共同経営者は全員ADHDなので、なにか特別な苦労もあるのではないか。
「みんなADHDの特性で物事を先延ばしする癖があります。だから、物の管理はムチャクチャです。 “あれはどこにやったっけ?” となるのは日常で、冷蔵庫を開けたらふきんが出てきたこともあります。
だけど、全員、同じことが苦手・得意なわけではない。それぞれの特性の違いを補い合って経営しています」
当初は、障害当事者の居場所として立ち上げたお店だが、福祉を前面に出さなかったことで、障害など関係ない地元のお客さんも訪れる、愛されるお店になった。
個性的なスタッフで曜日や時間で全く違うお店の雰囲気
「アデハデ!」はそれぞれのシフトも異なるため、訪れる曜日や時間帯で、雰囲気が全く違うという。
「客層は、6~7割は障害のある人やその親御さんです。お客さんが、自分たちの障害を理解してくれ、とても優しい。
“さっきの注文、オーダーが通ってないよ” などお客さんが教えてくれることも多いです」
やりがいは、お客さんの人生の節目に立ち会えることだ。
「お客さんの中には、就労移行支援事業所に通っている人や、休職中・離職中の人もいます。そういった人たちの相談にスタッフが乗ることも多く、就職が決まると報告しにきてくれるので、嬉しいですね」
中には、彼女ができたなどの報告もある。
新たな道を進んでいる彼女に今後の目標を聞いた。
「1人でも多くの人に、お店のことを知ってほしいです。来店して、少しでも気持ちが軽くなる人がいたらいいと思っています。健常者の方も “おもしろいから行く” というような、開かれたお店でありたいです」
障害のあるなしに限らず、まずは、ARACOさんをお目当てに、お店に行ってみるのもいいかもしれない。
取材・文/田口ゆう