言語聴覚士を目指すも実習でコミュニケーションが取れずに受診
31歳のときに、モデルに復帰するが、芸能活動はいつまでもできる仕事とは思えなかった。
手に職をつけたくて、音声機能や言語機能、聴覚に障害のある人の機能の維持や向上を図る国家資格である、言語聴覚士(ST)を目指し、専門学校に通いだす。
「学校のカリキュラムで、座学のときは問題がありませんでした。だけど、実習のときに、コミュニケーションが取れなかったり、聞きながらメモを取ったりしていても、理解することができませんでした。
学校から、このままでは進級できないと言われて、精神科病院を受診しました。座学で、発達障害についての勉強もしましたが、教科書を読んでいて、 “私に当てはまる” と思いました」
政府広報オンラインによると、発達障害は、脳機能の発達が関係する障害で、当事者はコミュニケーションや対人関係を築くのが苦手だ。受診した病院で下ったのは、発達障害(ADHD)と双極性障害の診断だった。
「今までの経緯を話すと、医師からはうつ病ではなく、双極性障害だと言われました。双極性障害よりも発達障害だと診断されたことがショックでした。双極性障害は薬で管理できますが、発達障害は薬でどうにかなるものじゃないので……」
双極性障害は、躁の時期には、万能感があったり、無敵な感覚があったりするため、受診に至らないことが多い。うつの時期は、躁の時期にやったことへの後悔など、気分が落ちるため、うつ病と誤診されることが多い障害だ。
作家で精神科医の北杜夫氏も、生前に双極性障害だとカミングアウトしている。厚生労働省の調査によれば、受診中の患者数は 80 万人程度と推計される。
「躁の時期に、衝動的に陶芸道具一式を、貯金100万円を使って購入したことがあります。躁の時期はとにかく楽しい。没頭して寝ずに、作品を作ってましたが、80㎝×80㎝の窯は今ではベランダに置いてあります」
診断を受け、人の命を預かる仕事には就けないと思った彼女は、学校を退学した。