慰謝料に向けた話し合いの場を設けるよう要望が出された

また、文書内では「関係児童Bの保護者より、報道機関に情報提供してほしい旨ご要望いただいた内容」として、事件後に設けられた謝罪の場およびそれ以降で、次のような出来事があったことが記載されている。これは、見出しの通り、関係児童Bの保護者からの提案により開示されたものだ。

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①謝罪の場の中で、関係児童の本人や保護者からの謝罪を反省に向けた言葉を受け、話し合いの終盤に、当該児童の保護者から、関係児童らに対し、「君たち(関係児童ら)にも未来があるんだし」 「何か、人の役に立つことをやる。できるんだったら、学校に来ていい」といった発言があった。

②謝罪の場の終わりに、関係児童の家庭に対し、慰謝料を請求するつもりである旨の話があり、また学校に対し慰謝料に向けた話し合いの場を設けるよう要望が出される。

③学校が教育委員会に確認した上で、学校は教育活動の場であり、慰謝料の話し合いを行うような場ではないことから、そのような話し合いの場の設定はできない旨を回答する。

④学校に対し、当該児童の保護者から、関係児童の連絡先や住所を教えて欲しいという要望が出される。

⑤学校が教育委員会に確認したうえで、個人情報保護の関係から、関係児童側の許諾なく学校外の情報は開示できないこと、関係児童側に確認したところ、現時点では開示できないと言われているところだが、許諾をもらうために、関係児童に伝えたいことがあれば教えてほしい旨回答する。

⑥当該児童の保護者から、警察に対し、関係児童の家庭の住所や連絡先を欲しい旨要望があったとして、警察から関係児童の家庭に連絡が入る。(関係児童側の情報提供)これに対し、関係児童の家庭は、開示について承諾をしていない。

⑦教育委員会に対し、本件に係る報道機関からの取材が始まる。

(原文ママ)
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同文書では、こうした関係児童側の事実確認や情報開示はされているものの、被害者側の視点はまったくと言っていいほど盛り込まれていない。

また、これまでは「下半身に触れた」「性器に触れた」と報道されていたのに対して、茅ヶ崎市教育委員会による聞き取りおよび文書内では、具体的な言及はほとんどない。

写真はイメージです
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さらに、神奈川新聞の記事では、1人でトイレに行くことができなくなった被害児童に対し、担任の男性教諭が「トイレまで(加害者が)来るわけないだろ」と発言したと報じられているが、これに対しては「当該学級担任は、トイレに付き添う場面(女性職員に引き渡すまでのやりとり)で、記事にあるような発言をしたことはないと述べており、また、別に確認した付き添いをしている女性職員もそのような発言を聞いたことはないと述べております」としている。 

なぜ、このような食い違いが起こるのか。また、なぜ関係児童側の言い分のみをまとめた情報を開示したのか。改めて、茅ヶ崎市教育委員会の担当者に電話取材した。