下位陣営も「9人中ビリは絶対イヤだ」と必死

こうしてそれぞれ追い込みをかけている「3強」。最終盤ともなると、党員・党友投票はすでにほぼ終わっているため、残るは国会議員票の取り合いとなるが、3陣営のいずれも国会議員票の大幅な上積みが難しくなっている。その背景には、こちらも大激戦の「ビリ」争いがあるようだ。

「どの陣営も『ビリ』になりたくなく、必死なのです。これまでの総裁選のような3、4人の中の『ビリ』と、9人の中の『ビリ』ではわけが違います。
たとえば前回の総裁選では、苦戦していた野田聖子氏の陣営に対して『死票になるくらいなら、ウチに入れてくれ』という引きはがし工作が活発化しましたが、今回、下位陣営は『どんぐりの背比べ』状態で、ビリ回避に注力。引きはがし工作も簡単にはいかないのです」(全国紙政治部記者)

前回の総裁選後は、岸田文雄首相は敗れた河野太郎氏を広報本部長、高市早苗氏を政調会長、野田聖子氏をこども担当相に就け、挙党態勢を演出したが、今回は候補者が9人もいるため、人事で「冷や飯」を食う陣営が出るのは必至だ。さらに、下位になればなるほど、今後の総裁選への再出馬にも黄信号が灯る。

そのため、下位陣営にとっては、決選投票に駒を進めるのは難しいにしても、一定の存在感を示して新政権下での人事でポストを獲得し、非主流派にならないようにする必要がある。

河野太郎氏(本人Facebookより)
河野太郎氏(本人Facebookより)
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現在のところ、読売新聞の調査では最下位から順に加藤勝信氏、河野太郎氏、茂木敏充氏、上川陽子氏となっており、現在の見込み得票は20票台~40票台(いずれも国会議員票と党員・党友票の合計)にとどまる。

少しの差で順位が逆転するため、どの陣営も自陣営の票固めと、投票先を未定としている議員への説得に必死。それゆえ、「3強」にとっても簡単に票をわけてもらえる状況ではないのだ。

誰が首相の座を手にするのか、最後まで誰にも読めない大激戦を制するのは……?

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班