国政報告会後、掘井議員の態度は一変

掘井氏の今回の行為に絡んでは、前述の通り9月6日の百条委で丸尾県議が発言した直後、記者団が同委メンバーでもある維新の県議団団長の岸口実氏に対し、丸尾県議が挙げた国会議員は維新所属だと指摘しながら「党内調査はしないのか」と質問している。

岸口県議はその際、「ちょっと確認はしたいと思います。ただ、私が県連で調査する立場ではないので、しっかり役員会でそういう質疑の中でそういう話が出たということで、あとは追っかけたいと思います」と答えている。

9月6日、記者の質問に答える岸口実維新兵庫県議団団長(撮影/集英社オンライン)
9月6日、記者の質問に答える岸口実維新兵庫県議団団長(撮影/集英社オンライン)

だが、維新内部ではその後も掘井氏の行為の深刻さは本人も含め認識されていなかった気配がある。

掘井氏は9月8日午後1時半すぎに、取材に対して前述の回答をした後、予定していた国政報告会に入ったが、これが終わった直後の午後3時半すぎには、こわばった表情で「党の方針があるから、コメントできない」として一切の事実確認を拒むようになったからだ。

この2回の記者との接触の間に、掘井氏が党関係者と連絡を取り合い、状況をようやく認識した可能性も考えられる。

こうした中、知事選で斎藤知事を推薦し、問題発覚後も最後まで支援してきた維新は、掘井氏が取材を受けた8日午後、これまでの方針を大転換して斎藤知事に辞職を求めることを決定。

9日午後には藤田文武幹事長が記者会見で「県政に停滞を招いた。辞職して出直し選挙で民意を問うことが政治家に許されたひとつの手段だ」と表明した。
兵庫県幹部に対しても馬場伸幸代表らの名で、斎藤知事宛の「申入れ」を伝えた。

「県議会ではすでに、最大会派の自民党など維新以外のすべての会派が辞任要求で足並みを揃え、12日に要求を行なう方針で維新に同調を求めていました、維新は他会派と足並みをそろえていては知事をかばったせいで悪化したイメージを払しょくできないと踏んで、“抜け駆け”のように9日に辞職要求を出した形です」(兵庫県議関係者)

しかし斎藤知事は、維新の動きが顕在化した9日午前にも記者団に「百条委員会の調査にしっかり対応することと、県民のみなさんの暮らしや生活にとって大切な事業をこれからも進めていくということです」と述べ、辞職する気配をまったく感じさせなかった。

9月6日の兵庫県議会百条委に出席した斎藤知事(撮影/集英社オンライン)
9月6日の兵庫県議会百条委に出席した斎藤知事(撮影/集英社オンライン)
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 いずれにせよ全会派が知事辞職を求めることになった。9月19日開会の県議会では10月3日の補正予算通過を待って不信任決議案が可決される公算が高まっている。同決議案が採択されれば斎藤知事は失職か議会解散のどちらかを迫られる。

「県政の混乱を避けるため、不信任された知事は身を引くのが普通でしょうけど、斎藤知事は今や敬愛する維新の吉村洋文大阪府知事の言うことにも耳を貸さなくなっているとの情報もあり、県議会を解散してしまうかもしれません。

そうなれば、衆議院解散を受けた総選挙とのダブル選挙の可能性もあります。維新には両方の選挙で相当な逆風が吹く可能性があります」(県関係者)

そんな状況で勃発した掘井議員の問題。さらなる打撃が必至となった維新には、党として早急に説明する責務があるのではないか。

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班