もし県議会を解散すれば、選挙費用は16億円かかる
「斎藤知事の県政の終わりが突然目の前に迫ってきました」
そう語るのは、地元記者のひとりだ。
「これまで最大会派の自民党は9月19日開幕の9月議会の中で、補正予算が成立する10月3日を待って不信任案を出すことを考え、前段として12日に知事に辞職要求を一致して出そうと他の会派に働きかけていました。
ところが、維新が批判的な世論の拡大を恐れ、9日に“抜け駆け”して先に辞職要求を知事に突きつけたのです。これで事態が一気に動き始め、自民党は現在、議会冒頭での不信任案提出を検討しています」(地元記者)
11日朝の時点で、86議席の県議会は全会派、全議員が斎藤知事の辞職を求める状況にあり、不信任案の可決は確実、それも、全会一致で可決される公算も高まっている。
こうした中で迎えた11日午後の記者会見。
質問は当然、全県議が辞職を要求していることについての受け止めに集中した。これに対し斎藤知事は、今までと同じように、辞職する考えはないと強調。
「今の状況は厳しく、結果として県民のみなさんにご心配をおかけし、心からお詫びしたい。そのうえで、私としては、できるだけ(自分で県政を)前へ進めていきたい。頑張っていきたい」と意欲を強調したのだ。
頑張りたいと言っても、県議会で不信任決議案が可決されれば、失職か議会を解散するか、二つのうち一つを選ぶしかない。現行憲法下で知事の不信任案可決は4件しかなく、いずれのケースでも不信任された知事は失職を選んでいる。
「今回、混乱の責任は議会になく知事にあるのですから、常識で考えれば不信任を突きつけられれば知事は失職するべきです。もし県議会を解散すれば、選挙費用は16億円かかると見積もられています。
その場合、再選挙で構成される次の議会も知事に不信任を突きつけ、斎藤知事が知事職を続けられないのは確実です。それでも、これまでの斎藤知事のふるまいを見れば、混乱拡大や県政の空白も恐れず、解散をしかねないとの見方が強まっています」(県議会関係者)