掘井議員を直撃

これに絡んでは、9月6日の百条委で、斎藤知事の証人尋問の際に委員会メンバーの丸尾牧県議が次のように質問した。

「9月2日11時ごろに友人から連絡が入った。自民党からの話もあった。私の別の友人がJRの駅前で話した国会議員から元県民局長(Aさん)のプライバシー情報の一部が語られた。私のところにも音声データが届いています。国会議員本人の声です。

事実であれば極めて深刻な話で、兵庫県が情報流出源になる。早急に事実を確認し、事実とすればどういう経緯で情報が流出したのか確認する必要がある。事実は確認したか」

斎藤知事は直接答えず、井ノ本氏らに絡む調査を検討しているとだけ答え、丸尾県議は入手した音声データを提供するので県が調査をせよと求めた。

掘井氏が実際に指摘されたような言及をしているとしたら、県庁外に漏えいした情報をさらに一般の人に伝えたという点で、井ノ本前部長の行為より深刻な言動だといえる。

Fさんの証言は事実なのか。もしそうなら、掘井氏はどこから情報を聞いたのか。9月8日午後、現場のJR加古川駅に近い加古川市総合福祉会館で国政報告会を開いた掘井氏に直接尋ねた。

質問に答える掘井健智衆議院議員(撮影/集英社オンライン)
質問に答える掘井健智衆議院議員(撮影/集英社オンライン)

――加古川駅前で9月2日、パソコンから得た情報を話しましたか?

「ひとつ言えるのは、僕は意図的というか拡散したとかではないです。僕の情報っていうのは県の中で記者さんが僕に言ってきたことだから。その話を聞きましたよ。僕は信じたところはあるよね。『可能性のひとつとしてあるんかな』と、僕は考察するわけですよ」

――その可能性のひとつと思われることを話されたと?

「それはね、話の流れで僕は思うところもあると。それを考察したらこういう可能性もあるという意味で言いました」

――維新の県議から話を聞いたということはでなく?

「いや、記者。記者さんがやっぱり言うんや。百条委で何人かに言っている感じしません?百条委の質問の中で、(百条委に証人として出席した県の)職員さんが議員さんに言ったみたいなことが、答弁であったような気いするねん」

国政報告会を終え支持者を見送る掘井健智衆議院議員(撮影/集英社オンライン)
国政報告会を終え支持者を見送る掘井健智衆議院議員(撮影/集英社オンライン)

――県政記者クラブなどに所属し、情報を知っている可能性がある記者ですか?

「わからへん。僕は政治家ですから、付き合いがいっぱいあります。どこの記者さんかはわからへん」

――パソコンの中から出てきた情報の内容を話した人(相手)が少なくとも一人はおられたんですか?

「いますいます。それは事実ですよ。だからそれは事実ですよ。そういうことなんですよ。だから、もっと言いかた、気つけたらよかったな、いうのはありますけど」

個人情報保護法の制約で、疑惑とは無関係のAさんの個人的な情報は、百条委でも厳密に扱いが統制されており、「百条委で内容が語られたのではないか」との掘井氏の発言は誤りだといえる。また、情報入手先は記者だと言いながら、所属は「わからない」と答えたところが目を引く。