「こんな天候のときこそ稼ぎ時」ショートバイトも参戦
2018年に大手ピザチェーン店のデリバリーバイクが台風による暴風雨の中、車道で立ち往生して転倒する映像がX(旧ツイッター)で出回り、配達員を心配する声が噴出した。それ以来、台風が来るたびにデリバリーについてSNSでつぶやく人が現れる。
今回の台風でも、「台風のときに頼むデリバリーこそが至高」というウケ狙いなのかどうかわからない声から「ピザ食べたいですね〜!でも台風でデリバリーは申し訳なくて 今日はガマンです!」という配達員に配慮したポストが次々現れている。
では実際の配達員はこんな悪天候をどう考えているだろうか? 16日の日中、風雨が強まる首都圏で走り回っていた当事者に聞いてみた。
昼食時の12時半ごろ、東京・文京区のピザチェーン店にはバイトの配達員が雨のなか絶え間なく出入りしていた。
配達員はカッパとヘルメット姿で、蒸し暑いなか汗でびしょびしょになっている。
配達に勤しむ17歳の男子高校生は、「いつもの倍くらい忙しいです。だけど時給1350円ももらえるし、夏休みだし稼ぎたいからがんばるしかないですね」と話す。
さらに「強い雨だとタイヤがスリップしたり、視界も悪いので怖いです。自分は電動機付自転車を使って配達していますが、今日は二度転びそうになりました」と、雨の日の条件の悪さを吐露した。
この高校生によると、昔は現金払いの客も多く、悪天候の時にはチップをもらった配達員もいたと聞いたことがあるというが、「今は事前決済だからそういう旨みはないですね」とのことだ。
同じ店で配達する20代の男性も「僕はショートバイトで今回募集があったので登録して入りました。午前11時から21時まで入っていて、日当は13000円。別のエリアでは11000円とかだったのでかなりワリがいいですね」と鼻息が荒い。
「このエリアの人は比較的みなさんおおらかなので、遅れても嫌味もなく『ご苦労さま』と言ってくれますが、エリアによっては台風でも遅いとか文句言われたり舌打ちされることはありますよ。『置いといて〜』とぞんざいにあつかわれることもありますね」
台風がかすめそうな千葉県幕張の同じピザチェーン店の男性店員は「デリバリーを止めるかどうかの判断は、本社から指示がくることもありますし、店で判断することもあります。確かに天候が悪いと注文が増えて忙しくなることはありますね。
今回風が強くなればデリバリーを止めるかもしれませんが、まだそんな雰囲気ではなさそうです。デリバリー断られて怒るお客さんですか? いやあ、最近はみなさん理解してくださって、そういう人は少ないですね」と客からの無理強いはないと証言した。