5年前に武蔵小杉のタワマンを襲った悲劇

「台風7号は16日午前9時に三宅島の東南東約80キロ程度まで近づくときには中心気圧は950hPaと予想されています。2019年の台風19号は伊豆半島に上陸する直前の中心気圧が955hPaだったので、それよりも強い勢力のまま陸に近づく可能性があり、関東に近づく台風としては史上最強クラスになる恐れもあります」(社会部記者)

台風7号が北上中(気象庁HPより)
台風7号が北上中(気象庁HPより)
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しかも台風7号は移動速度が時速15キロと比較的遅く、雨の影響が長引く可能性も出ている。近づく嵐に備え、JR東海は16日始発から終日、東京~名古屋間での東海道新幹線の運転を取りやめると発表した。JR東日本は東北新幹線などの運転をどうするか15日中に判断するという。

関東の空港を発着する航空便の運航が大幅に見直されるのも必至で、お盆のUターンラッシュに大きな影響が出る見通しになっている。

首都圏を襲った台風被害といえば、2019年の台風19号による大雨で神奈川県川崎市中原区の武蔵小杉駅周辺が浸水し、47階建ての某タワマンの機能がダウンしたことが記憶に新しい。

「周辺に降った雨水は地中の排水管を通って近くの多摩川に流される仕組みになっているのですが、大雨で当時、多摩川の水位が異常なほど高くなっており、川の水が排水管を逆流したのです。

その結果、武蔵小杉駅前が広範囲に浸水しました。そのタワマンは地下4階にゲリラ豪雨に備えた雨水貯留槽がありましたが、流れ込んだ水が多すぎて槽の排水が追いつかず、一つ上の地下3階が水浸しになりました。この階に建物の電気設備があり、これがダウンしたためタワマンの電気、水道、エレベーター機能が止まりました」(前同)

2019年の台風で停電になった武蔵小杉のタワマン(撮影/集英社オンライン)
2019年の台風で停電になった武蔵小杉のタワマン(撮影/集英社オンライン)

 住宅排水と雨水が合流して下水管に流れ込み、ふだんは排水処理場で処理されているこの汚水が逆流して一帯が浸かってしまった。

停電したタワマンの住民はこれに加え、トイレやエレベーターが使えないなど散々な目に遭った。

商社に勤務する40代の男性Aさんは「当時はネットで『うんこタワマン』なんて言われて散々馬鹿にされました」と、被災者なのに冷たい目を向けられた5年前の記憶を振り返る。

「まさかタワマンであんなことになるなんて思ってなかったので、当時は怒りを覚えました。電源装置を地下に設置していたからこういうことになったんでしょ? どうして最初から高層階に設置しなかったのかと疑問に思いました。

俺はすぐに職場近くの都内のホテルに避難して、しばらくそこに滞在していました。家に帰れないストレスはあったし、もう二度とあんな目に遭いたくないです」(Aさん)