Uber Eats配達員は「いつもよりライバル少ない」
一方、同じデリバリーでも雇用契約がなく、自分の意志で稼働するフード配達員は少し事情が違うようだ。
ファストフード店や飲食店が集まる錦糸町駅周辺は、ふだんは裏路地に早朝から多くの配達員が待機する“デリの聖地”と言われている。普段はランチタイムに職場勤めの人からの注文が多いようで、お盆休み真っただ中の16日は悪天候も重なり昼食時なのに配達員の姿は少なめ…。そんな中でも話を聞くことができた。
20代のUber Eats配達員は「ふだんはもっとたくさん待機のライバルがいるんですけど、今日はご覧の通り。やっぱり天気が悪いから避けてるんだと思います」と言いながら、自分にはチャンスだと話してくれた。
「この天気だから今日は報酬がふだんより高いですね。1軒あたり1000~2000円くらい違います。運転がいつもより大変だけど、僕はこの仕事一本だから、むしろ稼ぎ時でチャンスだと思ってます。今はまだ天気もひどくないし、これから悪化してきたらもう上がるつもりです。
注文もふだんより多くて、やっぱりみんな家にいながら食事したいんだなって思いますね。割増だし他に稼働する配達員は少ないし注文も多いし、僕としては雨の運転がちょっと面倒なくらいで稼げるチャンスです」
Uber Eatsについているチップ機能もこういう天候だと配達員に有利になるのだろうか?
「チップはふだんと変わらないんですよ。こういう天気だからって多めにくれる人はいなくて、でも言葉では『こんな天気にありがとうね』って優しくしてくれる人が多いですね」(同)
ただ天候がかなり悪化すれば、配達員のやる気に任せると危険が生じることもある。このためUber Eats Japanは2019年10月に関東に甚大な被害を与えた台風19号が接近した際は東京や神奈川、愛知、大阪などで「配達パートナーの皆様を考慮する」として丸一日サービスを止めたこともある。
16日の夕方、同社に今回の対応を尋ねると「風などの天候への対応については、気象庁が発表する気象情報にもとづき、サービスの提供を一時的に停止すべきかどうか、エリアごとに決定いたします。
この度の台風については、現時点でサービスの提供を停止する予定はありませんが、配達パートナーの安全を確保するため、今後の状況を継続して注視してまいります」と回答した。
都内では風雨がやや弱くなった夕刻、自転車で配達に回る20代のバイトの男性は、嵐の他にも“敵”がいると話した。
「きょうは雨も風もそんなに強くなかったので、ちょっと滑りやすいくらいでトラブルとか事故はなかったです。それよりもカッパで風が通らないから暑い方がしんどいです。雨なのか汗なのかも分かりません。
びちょびちょに濡れながら届けるからお客さんも優しいです。そもそも給料を天気もだけど季節で変えてほしいです。同じ額だけど春秋と夏冬の大変さは明らかに違います」
今回の台風7号に絡んでは、佐川急便とヤマト運輸が16日に茨城、千葉両県の一部地域での荷物の預かりや配達を停止。日本郵便も台風の影響を受ける一部地域でサービスを止めた。
出来高制の配達員にとっては、配達中止は日々の実入りに直結するので悩ましいが、安全を第一に考えて台風が抜けるまで少し待つことが重要だろう。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班