男は低収入、女は高収入だと、ひとりみの現代
ひとりみでいる一因として、「貧乏」というものがあります。
内閣府男女共同参画局「結婚と家族をめぐる基礎データ」(2021年9月30日)でも、「男性の年齢と所得の関係(配偶関係別)」は、「全年齢区分において、既婚男性の方が所得が高い傾向」があり、やはり貧乏がネックになっていることが分かります。
ところがこれが「女性の年齢と所得の関係(配偶関係別) 」になると、「全年齢区分において、未婚女性の方が所得が高い傾向」であるというのです。さらに武蔵野大学講師の舞田敏彦による「日経xwoman」の記事を見て驚きました。
舞田氏は、総務省の「就業構造基本調査」(2012年度)から、男女有業者の年収別の未婚率を計算し、35歳から39歳の「就業者の年収別の未婚率」を計算し、折れ線グラフを作成しています。それによると、男性は収入と婚姻率が見事に比例して、高収入になればなるほど未婚率が低くなり、ひとりみの要因が明らかに「貧乏」であることが分かります。
ところが女性の場合、年収が上がるほど未婚率は高まり、600万円でいったん未婚率は低くなるものの、1000万円を超えると、一気に未婚率が高くなってしまうのです。つまり高収入になるほどひとりみが増えるわけで、女性の場合、ひとりみの要因はむしろ高収入であるとすら言えるのです。
ひとりみの高齢女性の貧困問題について触れましたが、一方では、高収入の女性はひとりみになる率が高くなるというのです。
同じようなデータは、独身研究家の荒川和久による「東洋経済ONLINE」の「正規で働く女性の『生涯未婚率』男女逆転の衝撃 女性は年収が上がるほど未婚率が高まる」という記事にもあって、「男性の正規雇用の場合、生涯未婚率は19.6%と全体よりも約9ポイントも下がるのに対し、「女性の正規雇用の場合、同未婚率は、24.8%にも跳ね上がるという結果です。
「男性の場合は正規雇用のほうが結婚しやすいが、女性の場合は正規雇用であるほうが未婚は多い」というのです。「キャリアを優先しようとする場合、結婚や出産を後回しにしたり、仕事にやりがいを見いだして結果的に結婚時期を過ぎてしまったという女性もいることでしょう」と荒川氏は分析しています。
逆に言うと、妊娠・出産してもキャリアが中断されなければいいわけで、そうした環境が整えば、また、自分に見合う年収・経歴の男性が見つかれば、高収入女性の未婚率も下がるのかもしれません。
貧乏でも結婚できない、高収入でも結婚できない。皮肉な話ではありますが、実は昔もそういうことはありました。