「検察庁内の上下関係はとても強いものです」

――今回、北川容疑者は自身の官舎内で酒に酔い身動きが取れない部下の女性に性的暴行を加えたた疑いが持たれています。官舎内でそのような犯行は可能なのでしょうか。

検察庁内の上下関係はとても強いものです。これは憶測でしかありませんが、拒もうものなら立場が悪くなるなどの理由から、拒みきれなかった可能性はあり得ると思います。

今回、高検が逮捕に踏み切ったということは、確実に起訴できるだけの証拠があってのことでしょう。被害女性の証言だけではなく現場の音声とか、LINEなどのやり取りといった物証があるのではないかと推測します。

――一連の報道を受けて、率直にどう感じられましたか。

大阪高検大阪高検が逮捕に踏み切るのは異例中の異例です。

しかし2019年に広島地検の男性検事が自殺し、遺族が「80時間を超える時間外労働や上司からの強い叱責が原因」と一般企業の労災にあたる「公務災害」を申請したことに対し、法務省は昨年これを認定しました。

また、2022年には仙台地検の庁舎内で男性検事が自殺未遂、2023年には甲府地検の男性事務官が自殺して遺族が国賠訴訟を起こすなど、パワハラ絡みの問題が立て続けに明るみになりました。そういった意味で膿を出し切るタイミングにきたのではないかと感じます。

元検事の西山弁護士(レイ法律事務所HPより)
元検事の西山弁護士(レイ法律事務所HPより)
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――北川容疑者の事件以外にも、まだ出しきれてない膿があるのでしょうか。

それはわかりません。ただ、パワハラ的な問題は明るみになっていないだけで、まだまだあるのではないかなとは想像します。

私自身の体験だけでなく、指導と称した強い叱責を同僚たちが受けているのを見聞きしたことはありましたから。

私が検事経験者として願うことは、やはり職場環境の悩みを打ち明ける相談窓口などを検察庁内に設置し、風通しのいい組織風土へと生まれ変わってほしいということです。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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