「なぜ外国人観光客ばかり優遇するんだ」という声も 

観光客向けインフラに関しては、一部の鉄道マニアからも批判の声が上がっている。それが、外国人観光客のみが入手可能な「ジャパン・レール・パス」だ。40代の鉄道ファンは、外国人観光客をこう羨む。

「ジャパン・レール・パスはJRグループ6社が共同販売する訪日外国人限定商品で、新幹線(のぞみやみずほなどを除く)を含むJR全線やJRバス、一部私鉄を7日間乗り放題で7万円(普通車用は5万円)という、まさに夢の切符です。

たとえば博多から東京を経由し、函館新北斗駅まで行くと片道でほぼ元がとれてしまう。これははっきり言って羨ましいというより妬ましい!」

また、6月18日に今夏の発売時期が発表された日本人向け期間限定の乗り放題切符「青春18きっぷ」と比較する声も上がった。

「青春18きっぷの発売に関して、近年は春、夏、冬の発売の案内がまとめて発表されていたのに、今年は夏と冬の分は発表がなく、『もしかしたら今後発売されないのでは』と乗り鉄の間でザワついていた。

でも、18日に発表されたのでホッとしました。それに比べてジャパン・レール・パスは年中発売されているから、不公平な感じがします。なぜそこまでして外国人観光客を優遇するんだ、という気はしますね」

東京駅にある外国人専用のJR EAST Travel Service Center(読者提供)
東京駅にある外国人専用のJR EAST Travel Service Center(読者提供)

鉄道ファンのなかには「できれば外国人観光客優遇のジャパン・レール・パスの販売はやめて、外国人観光客も同じ額、もしくは高くしてほしい」という声や「パス撤廃はしなくてもいいけど、日本人にも期間限定でもいいから夢の切符(ジャパン・レール・パス)を売ってほしい」との声もある。

JR東日本広報に今後の展開について問い合わせたが「この件に関する広報コメントはJR九州になります」と回答。JR九州は「おそらく今後もジャパン・レール・パスの発売はしていきます。日本人向け販売はないと思いますが、正式な回答は共同販売する6社に聞かないとできない」と答えた。

前出の経済評論家・渡邉氏は「今回の姫路城における二重価格の設定を皮切りに、全国的に一律でやるべきだ」と言う。

「富士山は今年3月に通行料として2000円を徴収することを決めましたが、エベレストの入山料約170万円と比較しても驚くほど安いです。

登山道や山頂のゴミ問題も深刻化していますが、これはゴミを持ち帰るという習慣のない外国人観光客による影響が大きいとも言われています。日本を代表する世界遺産・富士山も、姫路城と同じように外国人観光客のみ値上げし、全国にも広げていくべきではないでしょうか」

自国民から不満の声が上がらないような形で地域のインバウンドを促進してほしいものだ。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班