闇の気持ちを肯定され回復に向かう

そのまま精神科病院に強制入院となり、統合失調症と診断された。詳しい検査をして処方された薬が効いて、ようやく幻覚、幻聴などが消えた。1年弱の入院期間に、チーム支援を受け始めたことで回復に向かったのだという。

「入院中も、人を巻き込んでもいいから人生を終わらせたいと邪悪なことを考える私は、やっぱり死んだほうがいいんじゃないか、みたいな負のループに陥っていたんですが、カウンセラーさんが言ってくれたんです。闇の気持ちも光の気持ちもどっちもあっていいよって。両方肯定してくれたので、初めて自分を受け入れられたんですよ」

写真はイメージです。画像/shutterstock
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カウンセリングと並行して、まず「楽しい」と思えることを探した。それには昔好きだった音楽が役に立ったという。

認知行動療法を受けて「客観視」を育てる訓練もした。白石さんはいじめのトラウマで人への恐怖心があったが、例えば、「この人に怒られた、嫌われた」と感じることがあれば詳細に思い出して書いていく。すると、「嫌い」という言葉は言われてない、怒ったのではなく単なる注意だったのではないか、など被害妄想と現実の切り分けができるようになっていった。

精神障害者保健福祉手帳を取得して障害年金の受給を開始。退院後はカウンセラーが主催する居場所などに参加し、他人と一緒に作業する練習を何度もした上で、カフェでアルバイトをすることにした。

「厳しく指導する上司がいて、『やっぱり人は怖い』ってなりかけたんですけど、福祉のチーム支援も受けていたので、前とは違いました。何かあるたびに泣きながらカウンセラーさんやソーシャルワーカーさんに相談して、これは客観的に見たらこうかもしれないねって確認できたので、ホント、全然違った」