宇宙の構造を知るのに、一番近い場所

–––––心霊ドキュメンタリージャンルの作品には、「演出だろう」という議論が、どうしてもついて回ります。本作でもラストシーンで衝撃的な映像が流れますが、そういった意見に関してはどう思われますか?

今作で記録できた物体は、たしかに演出っぽさがあるというか、まるで演技をしているような動きを見せてくれています。なので、演出だと疑われてもしょうがないかなと。本物なんですけどね(笑)

ただ、心霊現象を告白した人に対して、世間は結構辛辣じゃないですか。「ヤラセだろ!」という言葉は、その人が嘘つきだと言っているのと同じで、人を傷付けてしまう可能性もある。「映像作品を1つ見ただけで、人を嘘つき呼ばわりしていいんですか?」というのは、見る方に投げかけたいところですね。

歴史的にみても、超能力者や霊能者などオカルト的な話題を世間に発表する者はことごとく叩かれる運命にあるわけですが、それがまるで当たり前であるかのように発言者に受難を与える世の中を変えたいんです。無闇に叩けば発言者が減って貴重な現象のサンプルが得られませんし、これだけ文明が発展したのだから、検証をすればいいだけの話です。

その点において、ヨコザワ・プロダクションはこれまで提案したどんな検証も一度も断ったことがありません。これは、幽霊がいるかどうかよりもわかりやすい真実です。「嘘だ」とすぐに二分法で結論を出す態度は、真実を遠ざけるので非効率的。探っていくのが筋だと思います。 

怖すぎてあわや公開中止に。100%近い確率で心霊現象が起こるヨコザワ・プロダクションの圧倒的な怖さと魅力をオカルト編集者・角由紀子が語る〈心霊ドキュメンタリー『新・三茶のポルターガイスト』〉_3

–––––今後ヨコザワ・プロダクションで実現したいことはありますか?

うーん、やっぱり触りたいですね。願わくは、目の前に出てきてもらって対面でインタビューしたいです(笑)。

–––––総じて、なぜ角さんはヨコザワ・プロダクションという場所に、ここまで強く惹かれるのでしょうか?

幽霊などの未知の事象を追求することで、宇宙の構造や成り立ちなど、我々がまったく知らない世界を見ることができるのではないか、という期待があるからですね。ヨコザワ・プロダクションは、それを解き明かすのに一番近い場所だと思っています。
 

–––––最後に、映画を楽しみにしている方々にメッセージをお願いします。

オカルト現象を信じている人でも信じていない人でも楽しめる、映画としておもしろい作品になっていると思います。なので、まずは映画館で見ていただき、それから大いに議論してもらえるとうれしいです。

取材・文/毛内達大 撮影/井上たろう

 『新・三茶のポルターガイスト』

2024年6月21日 (金) ヒューマントラストシネマ渋谷、池袋シネマ・ロサ、
新宿シネマカリテ他 全国ロードショー

映画公式ホームページ

怖すぎてあわや公開中止に。100%近い確率で心霊現象が起こるヨコザワ・プロダクションの圧倒的な怖さと魅力をオカルト編集者・角由紀子が語る〈心霊ドキュメンタリー『新・三茶のポルターガイスト』〉_4

監督:豊島圭介
出演:角由紀子/横澤丈二/小久保秀之/山崎詩郎/児玉和俊/ひなたまる/森脇梨々夏/三上丈晴/
小野佳菜恵/大久保浩/オカルトセブン7★
ナレーション:東出昌大
企画・プロデュース:角由紀子、叶井俊太郎/プロデューサー:千葉善紀、佐藤慎太朗/宣伝プロデューサー:星野和子
音楽:スキャット後藤/撮影・編集:滝田和弘/ビジュアルデザイン:廣木淳
エンディング・テーマ「水底の愛」:横澤丈二

製作:REMOW/制作プロダクション:murmur/配給:エクストリーム
2024 年/日本映画/88 分/カラー/ステレオ/DCP
©️2024 REMOW