かつての共演者の話をきっかけに新たな世界に
――しかし、直後にコロナ禍が襲います。
お店の休業中はそこの経営者がやってる解体業を手伝いました。素人だったので現場ではまったく役立ちませんでしたけど、生きていくためにはなんでもやるって感じで。
――元俳優として、肉体労働への抵抗は?
そういう見栄が一切ないんですよ。役者だっていろんな人生を演じられるからやっていたわけですし、僕にとってこういう経験も楽しいことだと感じられましたね。
――そして、コロナもおさまったなか、去年10月にバーの店長もやめたと。
僕って実は、酒を飲む場の雰囲気が好きなだけで、酒そのものは好きじゃないんです。でもお店をやってるとお客さんから勧められたお酒を断ったときに「あんたね、飲むのも仕事でしょ」とか言われてしまう。
飲み屋あるあるだけど、それが理不尽に感じていたし、昼夜逆転の暮らしはいつまでも続けられない。浜松だけで4年もやったし、正直、もうそろそろかなと思ってました。
そこに(仁科)克基くんが新しい事業をやり始めたと聞いて、「自分がやりたいのはこの仕事かもしれない」と思ったんです。
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仁科克基さんといえば故・松方弘樹氏と仁科亜希子さんの息子で、五十嵐さんとは『ウルトラマンメビウス』で共演した仲。その後も親交が深い間柄だ。後編では仁科さんがきっかけとなって始めることになった、五十嵐さんの新事業について聞く。
取材・文/河合桃子
集英社オンライン編集部ニュース班