「さすが元銀行マン。大したもんだ」と評価する向きもあったんですが…

ベテラン市議から見て、石丸氏の市政運営はそんなに危ういものだったのか。

「あれはね、政治家というより銀行マンなんですよ。もう10年近く前から平成の大合併で、安芸高田市に弁当の惣菜工場を建てるという市町村合併推進事業が進められていたんですが、石丸氏は就任早々それをバッサリ切ったんです。

『あんたら10年も今まで何しとった? こんなもんやっても成功なんてしませんよ』と。採算は取れないだろうと言われていましたが、事業者の社長に着任挨拶でそう言い放ったんですわ」

石丸氏(本人SNSより)
石丸氏(本人SNSより)

民間出身者ならではの、しがらみに絡め取られない政治的決断のようにも見えるが…。

「そう。たしかに最初のうちは『さすが元銀行マンじゃのう。大したもんだ』と評価する向きもあったんですが、徐々に『やり方がエグすぎる』に変わっていきました。

市が管理していたグラウンドをなくす計画が浮上し、そこを使っていた中学校の野球部員が『あのグラウンドがなくなったら僕たちは練習ができなくなってしまいます』と存続を直談判に来たことがあったんです。

ところが市長は『バレー部や剣道部と部活はたくさんあるけど、野球部だけが市の税金を使っていいんですか? 市は野球部だけに投資するわけにはいかんのです』とカマシたんです」

 「税金がかかっているところをバサバサ切る冷酷なコストカッター」

対立するベテラン市議から見た石丸氏は「税金がかかっているところをバサバサ切る冷酷なコストカッター」と話す。

「石丸氏が都知事に当選したら都庁の職員も大変になるでしょう。つい最近、市役所を辞めた職員は、石丸市長に『ぜひ調べて報告してください』と指示されて数日がかりでまとめた調査データを『こんな事調べて何の意味があるんね?』と突き返されるということを繰り返されたそうです。

自分で言ったことすら忘れてるんですわ。まあ、我が道進むって人は、こんなもんなんでしょうな」