「人間くささ」をさらけ出すことで親近感が生まれる
『コトラーのマーケティング 4・0』著者の一人であるイワン・セティアワンは「ミレニアル世代は自撮りした写真を加工して投稿するが、それより下の世代では加工せずにそのまま投稿する。若い世代は完璧なものがあるなどとは信じていない。弱点をさらけ出しているブランドが、正当性があるとして支持され愛される」(2019年7月16日に開かれたトランスコスモス社主催の講演会での発言)と指摘する。(「日経クロストレンド」2019年7月24日)
後述するが、企業やブランドが支持されたり、共感されたりするためには、「自分のブランド」と思ってもらうことが大切であり、その際に「人間くささ」のような雰囲気も必要だということをセティアワンの発言は示唆する。グミ市場の拡大も、なんとなく「かわいらしく」「いとしい」存在だと思ってくれるファンの存在を無視できない。
感情や価値観のつながりの必要性
マーケティングやブランディングの世界では、「感情的コネクション」という言葉がある。消費者の感情や価値観とのつながりを重視したもので、ブランドや製品が持つ物語性や背景、その価値観や姿勢などが、消費者の感情や信念と「resonate(響き合う)」ことを意味する。
例えば、人権や環境に配慮したエシカル(倫理的)な取り組みと、特定のコミュニティーへの支援をしているブランドがあったとする。焦点を当てる部分や意図は異なるが、成功する製品やブランドは、多くの場合、両方の要素を兼ね備えている。つまり、消費者に驚きの体験を提供すると同時に、感情的コネクションを築いている。