劇場版第5弾予想――青島刑事と新人刑事のダブル主人公のバディもの!?

ここからは、織田裕二主演の最新劇場版が制作されることを願って、“第5弾が公開されるとしたらどういった内容になるか”を考察していきたい。

じつは『THE FINAL』公開1か月前の2012年8月に掲載されたインタビューで、当時44歳の織田はこんなことを語っていた。

「青島が和久さんぐらいの年齢になって、定年を迎えるころってどんな感じだろうと思っていたから、まさか今回で終わりだとは」

青島刑事の生年月日は織田本人とまったく一緒の設定なので現在56歳。仮に第5弾公開が数年後であれば、60歳近くになっている。公務員の定年は60歳から65歳まで段階的に引き上げられていくが、青島も定年が見えてきた年齢になるということだ。

2013年4月26日発売の『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望 スタンダード・エディション <DVD>』(ポニーキャニオン)のジャケット。係長に昇進した青島刑事が最大そして最後の事件の捜査をする、15年に及ぶ“踊る”シリーズのファイナルとなった映画
2013年4月26日発売の『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望 スタンダード・エディション <DVD>』(ポニーキャニオン)のジャケット。係長に昇進した青島刑事が最大そして最後の事件の捜査をする、15年に及ぶ“踊る”シリーズのファイナルとなった映画

12年前の織田のコメントや青島刑事の年齢を考えると、“青島の定年退職”がひとつの大きなテーマになるに違いない。

ドラマ版でいかりや演じる和久が青島に、現場で刑事としての信念や矜持を叩き込んでいったように、今度は青島が新人に刑事としての在り方を伝えていくというストーリーになるのではないだろうか。

湾岸署の新人刑事といえば、和久の甥っ子・和久伸次郎を思い浮かべるかもしれないが、現時点で彼は刑事歴10年以上の中堅になっているはずなので、まったく別の新キャラクターが登場する可能性がありそうだ。

もしかすると、青島演じる織田とその新人刑事を演じる俳優のダブル主演という形で、バディものの作品になるかもしれない。

青島は新人を立てるようにあえて一歩引こうとするも、やっぱりパッションを抑えきれずになんだかんだで現場の最前線で奮闘する。……そんな定年間近でも変わらぬ青島と大型新人のシナジーが描かれたら、往年のファンも胸熱だろう。

また、ユースケ・サンタマリア演じるキャリア組・真下正義は、『THE FINAL』時は湾岸署署長になっているが、その6年前の交渉課課長時代にある大きな失態を犯していた。小栗演じるエリート官僚の姪っ子が誘拐された事件で、上層部からの指示に従い犯人との交渉を打ち切ってしまい、その少女が殺害されるという最悪の結末を招いてしまっていたことが、『THE FINAL』終盤で明かされたのだ。

『交渉人 真下正義 スタンダード・エディション〈DVD〉』(ポニーキャニオン、2005年12月17日発売)。この映画は『踊る大捜査線』シリーズの番外編ともいえる作品で、主役はユースケ・サンタマリア、ヒロインは水野美紀に
『交渉人 真下正義 スタンダード・エディション〈DVD〉』(ポニーキャニオン、2005年12月17日発売)。この映画は『踊る大捜査線』シリーズの番外編ともいえる作品で、主役はユースケ・サンタマリア、ヒロインは水野美紀に
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ふだんはナヨナヨしておちゃらけていることの多い真下だが、取り返しのつかないその悲劇に改めてきちんと向き合い、一皮むけて“漢”を見せてくれる姿を期待するファンは多いだろう。

最後に、深津絵里演じる刑事・恩田すみれの存在についても触れておきたい。

ファンの間では有名な話だが、『THE FINAL』の終盤ですみれの身体が一瞬透けている演出があり、そのシーン以後、彼女は登場していない。これは本広克行監督があえて、“恩田すみれ死亡”という解釈もできるようにしたという趣旨の発言をしており、生死が不明となっているのだ。

そのため、すみれは元気に刑事を続けているのか、それとも亡くなってしまっているのかというのもファンにとってはかなり気になるポイント。はたしてすみれは登場するのか……!?

――コミカルに警察組織や所轄刑事のリアルを描き、同時にとことんシリアスに問題提起をしてきた『踊る大捜査線』のリブート、楽しみで仕方ない。叶うなら、また織田演じる青島刑事の雄姿をスクリーンで拝みたいものだ。

文/堺屋大地