相談・受診は早めに
ギャンブル依存症と自覚したら、症状が悪化して借金が膨れ上がる前に、できるだけ早く依存症を専門とする医療機関を受診しましょう。どこを受診したらいいかわからない場合は、都道府県および政令指定都市の精神保健福祉センター(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/yakubutsuranyou_taisaku/hoken_fukushi/index.html)
に相談すれば、最寄りの専門医療機関を紹介してくれます。また、独自に治療プログラムを提供するセンターもあります。
治療は、医療機関に通院しながら、精神科医の診察と、認知行動療法等の専門プログラムを実施します。
当院では、テキストを用いた全6回90分の認知行動療法を実施しています。このプログラムでは、臨床心理師と個別あるいはグループでミーティングを行ないながら、ギャンブルに対する偏った考えや行動パターンを自分自身で認識し、どうやって改めたらいいかを一緒に考えていきます。
治療はプログラムを受けて終了、ではなく、その後もギャンブルをやめ続けるための取り組みを継続していく必要があります。
なぜならギャンブル依存症は再発するリスクが高いからです。数年間やめていたとしても、何かのきっかけでまたギャンブルを再開するということもあるため、年単位でこの病気と向き合っていく必要があります。
完治というのは難しいのですが、1日1日ギャンブルから離れる生活を続けることによって、ギャンブル依存症から回復することは十分可能です。
ギャンブル依存症は、自分ではなかなか問題に気づきにくい。そのため、医療機関の受診まで結びつかず、気づいたときには金銭的に困窮し、生活も乱れていることがあります。
金銭的に余裕があるのにギャンブルにのめり込んで多額の借金を抱えてしまい、会社や顧客の金を横領して事件化するような深刻なケースさえあります。
しかし、ギャンブルの問題があっても、早めに医療機関に相談すれば、解決のための糸口を提供することができます。
ギャンブル依存症によって、自分自身や周りの人を傷つけているかもしれない。そのように感じたときは、専門医療機関に気軽にご相談ください。
取材・文/百田なつき