「ポスト川勝」では自民静岡県連が迷走
国政3選挙に加え、ここにきて5月26日に投開票される静岡県知事選をめぐっても自民の動揺が目立つ。野党系の川勝平太知事が「職業差別発言」で辞任したため、本来なら自民が勢いづくはずの選挙だが、対応が遅れているのだ。
知事選にいち早く名乗りを上げたのは、静岡県で副知事を務めたこともある元総務官僚の大村慎一氏。一方、スズキの相談役、鈴木修氏を中心とした県西部の経済界が前浜松市長の鈴木康友氏を推す。
「川勝氏は当初、6月議会をもって辞職する意向でしたが、4月10日に辞表を提出。県議会最大会派から早期の辞職を求められたこともあり、『なるべく早く私が去るのが県民のためになる』と辞表提出を早めた理由を述べましたが、これまでさんざん県議会と対立してきた川勝氏が議会の意向など聞くはずもありません。
鈴木康友氏と川勝氏双方の後ろ盾となっていた鈴木修氏が、康友氏の戦いを有利に進めるため、川勝氏に早期の辞任を求めた、とささやかれています。短期決戦となれば、知名度が不足する大村慎一氏にとって不利になりますからね」(静岡県関係者)
まるで修氏のペースで進んでいるかのような知事選で、自民静岡県連の対応は後手に回っている。
自民静岡県連内では県西部を中心に康友氏を推す動きがある一方、「浜松市長を務めていた康友氏では、浜松市とは離れた県中部や県東部からは支持を集めにくい。大村氏の方が県中部や県東部の声も反映できる」と、大村氏を推す声もある。
14日には静岡県連が対応を協議したが、結論は出ず、2人の政策を聞いたうえで今週中に方針を決めることになるなど、対応が遅れている。
「静岡県連では、本来議論をリードするはずの安倍派のベテラン、塩谷立氏が裏金問題で離党勧告処分を受け、再審査請求を申し立てるなど、それどころではありません。候補者を一本化できたとしても、県連内にしこりが残るかもしれません。
県連に所属する地方議員は、国政選挙で手足となって活動する存在。地方議員の間にしこりが残ると、国政選挙にも影響が出てくるのです。裏金問題が地方選にも影響を与え、地方選で自民の足元がゆらぐと中央政界にも動揺が波及する、という悪循環に陥る可能性が出てきます」(全国紙政治部記者)
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班